書き出し小説大賞第134回秀作発表

2017/11/12 11:00 

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チャレンジの日曜日
 

書き出し小説大賞第134回秀作発表

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書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。

書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。(ロゴデザイン・外山真理子)
(天久聖一)

今年もあっという間に街をイルミネーションが飾る時期になってしまった。毎年この時期になると今年一年のどうでもいいニュースに想いを馳せる。いまのところ1位は『にゃんこスター交際宣言』である。それでは今回もめくるめく書き出しの世界へご案内しよう。

書き出し自由部門

防犯カメラに映っていたのは、私を二度抱いた男だった。
社長
くぐってもくぐっても雨の音は続く。
xissa
ポテサラ先輩が土手でベースを弾いている。
terayo
風変わりなポンチョにじっとりとしたデジャヴをおぼえた。僕はその厭な感覚をテキーラで洗い流した。
エボシロック
肩車に免許が必要だとしたら、それを持つべきは上の人だろうか、下の人だろうか。
紀野珍
コタツに靴下を履かせたのは誰だ?
人馬一体勘
化石姿で、恥ずかしい。
大伴
ホットココアが冷めた。アイスココアのようにおいしいとは思えなかった。
わけわけ
生徒会長の遺体には、偏差値のようなもので殴られた形跡があった。
八重樫
お前のロックンロールがテレビサイズで流れた夜さ。
きつね
炭酸水の湯船に浸かり、読者モデルは溶けてしまった。
お皿が乾くの3時間
地団駄から床を転げまわり、背中で回転するとそのまま倒立で起き上がった。
タクタクさん
人のビールを一口もらってにこにこしている。
井沢
11月の冷たい雨が、牛肉神輿が通った後の肉汁を洗い流している。
ら+
国際電話が訃報を知らせる。曾祖父がイビザの泡パーティーで死んだ。
菅原 aka $UZY
スポイトの中の君の汗は黄色い。
あや幹部
父方の実家の納屋にはバスタブに入ったどろどろの液体が置いてあり、祖母はそれを愛と呼んでいた。
prefab
感謝の手紙を読み上げる頃、父の蕎麦が茹で上がった。
ウチボリ
蟹の影が大きくなる。
正夢の3人目
寸評。

●社長氏「防犯カメラに~」サスペンス調の書き出し。ヒロインは万引きGメンの主婦がいいな。
●terayo氏「ポテサラ先輩が~」ポテサラ先輩が悪人のはずはない。
●エボシロック氏「風変わりなポンチョ~」子供の頃「母をさがして三千里」を観て以来、ポンチョが気になり続けてます。
●紀野珍氏「肩車に免許が必要~」こういう疑問を持つこと自体がクリエイトだと思う。
●タクタクさん「地団駄から床を転げまわり~」見事なブレイクダンスを決める駄々っ子が浮かびました。
●井沢氏「人のビールを~」読んでるこちらまでにこにこしてしまう。そして若干イラっとする。
●正夢の3人目氏「蟹の影が~」浜辺のサスペンス。蟹はシオマネキ希望。

続いては規定部門。今回のテーマは『児童向け』。是非お子様に読み聞かせてください。

規定部門・モチーフ『児童向け』

ぼくはきっぷ。かみなりにおへそあげたねこ。
xissa
のっぺらぼうはきょうもかなしい。
けー
ある日、ルビはぎょうれつをつくって、べつの本へと引っこしを始めました。
タクタクさん
止まっているエスカレーターは、不思議な世界への入り口です。
くのゐち
怒って職員室に帰った先生を追って、君は冒険の旅に出る。
terayo
ほういち君は無くした耳を探しに、冒険の旅に出ました。
g-udon
しまった。おもちがたらないぞ。
正夢の3人目
挿絵の少女に恋をして、何度も図書室へ行った。
住民パワー
初めてひとりでお風呂に入った日の事をずっとおぼえておくといい。
菅原 aka $UZY
はらだせんせいが泣いた。
沙翁
おじいさんはずっと犬に噛まれています。
もんぜん
ぴょこぴょこプリリンどっこいしょ。ポピとおさんぽたのしいな。
だーたん
「教頭の書」を読んだことはあるかい?
suzukishika
「ぼくには中身がない」と悩む箱に、ケーキが言いました。「おいおい、あんたがいなくっちゃ、おいらどこにも行けないぜ」
Mch
僕の隣の席の子は、正確に初雪の日を言い当てることができた。
一発屋
さか立ちすると、うそが本当に、本当がうそになるって、知ってたかい?
morin
右手がトロフィーで左手はペア旅行券という優勝怪獣が現れた。
ろっさん
ナンチャイは左手でカレーの様な色をした暴れる河を受け止め、右手でカレーのお菓子を頬張りました。
吉田髑髏
まだ太陽とラム酒、月と歌声が仲良しだった頃、海賊ポロ・ポラ・パールは散歩をしていた。
マンボマスター
「これはいったいなんなんだ?」一体さんは、見るものすべてに新鮮な驚きを示します。
紀野珍
寸評。

●xissa氏「ぼくはきっぷ~」きっぷという名前の猫かな? すでに存在する絵本としか思えない完成度。おわりまで読みたい。
●けー氏「のっぺらぼうは~」この書き出しだけでのっぺらぼうのキャラが見事に立つ。これも絵本で読みたい。
●タクタクさん「ある日、ルビは~」こっちはコマ撮りアニメでみたい。医学書のルビが官能小説へ?
●くのゐち氏「止まっているエスカレーター~」異世界の入り口として、押し入れ、引き出し、に並ぶいい場所に目をつけたと思う。
●沙翁氏「はらだせんせいが~」たぶん原田先生は東京から来たおなご先生で、いたずらっ子が教壇に隠したウシガエルに驚いたんだと思う。
●suzukishika氏「教頭の書~」小心であること。姑息であること。最後まで負けを認めないこと。
●ろっさん「右手がトロフィーで~」アタック25の最終回に現れそう。

それでは次回のモチーフを発表する。
次回モチーフ
「温かい」
次回のテーマは『温かい』。物理的な温かさでも、感情としての温かさでもよい。読んで温かい気持ちになれる書き出しを募集します。いかにもハートウォーミングなものより、ちょっとヒネったり笑いの入ったものの方が採用されやすいと思います。思いっきり暑苦しい、なんてのもアリかもしれません。なにに温かさを感じるのかも人それぞれ、シチュエーションも重要です。締め切りは11月24日正午、発表は26日を予定しています。下の投稿フォームから部門を選んで送ってください。力作待ってます!
最終選考通過者
いそかぜ/青蛙/茂具田/ミミズグチュグチュ/夏猫/AIR田/
  

 
@nifty

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