つくろう! 嵐を知らせる小瓶「ストームグラス」

2018/02/13 16:00 

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フェティッシュの火曜日
 

つくろう! 嵐を知らせる小瓶「ストームグラス」

1.白くなったのは失敗ではなかった

ストームグラスはおそらく、室温に対して極めて敏感に反応して結晶化を起こす物体で、その範囲はたぶん15℃~23℃くらいであり、2~3℃変化しただけでもかなり急にその姿を変える。
冬の日中、暖房を消したあとの変化(約3時間、5分おきに撮影)
冬の日中、暖房を消したあとの変化(約3時間、5分おきに撮影)
※フルバージョン(約8時間を5分おきに撮影)
なので、真冬の窓際とかは寒すぎたのだ。
あっという間に結晶化して真っ白になってしまうんだろう。

2.温度変化の「急激さ」によって結晶の形が変わる

というわけで反応が敏感だから、急に温度が変化すると結晶が大きく育たない。ゆっくりと温度が低下していくときによく育つように思える。
8時間ぐらい、ゆっくりと温度を下げて育てた結晶
8時間ぐらい、ゆっくりと温度を下げて育てた結晶
細やかなシダの葉みたいで、本当にきれい
細やかなシダの葉みたいで、本当にきれい
むかしの人はこの「温度変化の急激さ」を、天気と結び付けて考えたのだろうか。ならば納得がいく。

もちろん室温の変化にも対応して日々姿を変えるので、見ていて飽きることがない。

3.小瓶の中に雪が降る

基本的にこのシダの葉みたいな結晶が育つが、ときおりビンの中に雪が降るように結晶が生じることもある。
!
どういう条件で降るか、よく分からなかったが、恐ろしいほどゆっくりと降っていくので、ちょっと異世界の様子を見ているような感じすらある。

水面に浮かんだ結晶から降ってくることもあり、魔術で瓶の中に雪雲が再現されたかのようだ。
タイムラプスで撮影した動画
むかしの人が「天気と関係しているかも!?」と思ったのも分かる。

4.やっぱり純正レシピの配合の方がキレイ

ドラッグストアで買える代用レシピも、そこそこいい線までいくのだが、やはり硝酸カリウムと塩化アンモニウムで作った純正レシピにはかなわない。
朝を迎えたストームグラスたち。中央の「第3号」が一番美しい。
朝を迎えたストームグラスたち。中央の「第3号」が一番美しい。
純正レシピ
・塩化アンモニウム 2.5g
・硝酸カリウム 2.5g
・樟脳 10g
・エタノール 40mL
・水 33mL
拡大すると分かる。透明度もばつぐん。さすが純正レシピ。
拡大すると分かる。透明度もばつぐん。さすが純正レシピ。
ダメだったのは適当量で作った「第1号」で、やはりキッチンはかりでこういった実験を進めるのは無理があったようである。

どうしてもキッチンで作りたい人は、誤差を減らすため、全部10倍の量にして1リットル瓶のストームグラスとか作れば、いくらかマシかもしれない。

5.嵐は、予測できるの?

Wikipediaによると、オリジナルのレシピでは密閉せず、小さな穴を開けて完成させたと書いてある。

また、「風や嵐が接近してくるときは、接近してくる方向の反対側のガラス管の壁に沈殿ができる」とも書いてある。
アンバランスに結晶が成長したときの例
アンバランスに結晶が成長したときの例
ここまで観察していて、結晶ができ始めに方向があるのは、微妙な室温の差やわずかな不溶物によるんだろうな、という気がうっすらしているが、低気圧による気圧変化で何かの現象が起こる可能性は捨てきれない。
理科室にある「簡易減圧器」の登場です
理科室にある「簡易減圧器」の登場です
というわけで減圧容器に入れてピストンでグイグイ吸引し、台風の低気圧なんか比にならない勢いで減圧してみた。

果たしてストームグラスに変化はあるだろうか。
1時間、インターバル撮影で観察
全く変化が無い!
微妙な温度変化による躍動的な変化が嘘のような、完全なるノーリアクションである。
全然変わらないよ、ストームグラス! 猛烈な低気圧来てるのに!
全然変わらないよ、ストームグラス! 猛烈な低気圧来てるのに!
実はけっこう期待していたのでちょっと残念である。
これだったら、まだおじいちゃんの古傷とか僕の偏頭痛のほうが、気圧の変化を感知してるんじゃないだろうか。

ストームグラス、少なくとも気圧変化は感知していなさそうである。
(そして多分、嵐も……)

まとめ

とはいえ、ストームグラスが美しいことに異論はない。

わずかな温度変化で姿を変えるそのようすは、インテリア品のなかでも第一級のものだと思う。

原料となる4種類の薬品の配合比も、純正レシピが唯一にして最高の解だとも思えないので、まだまだ改良の余地がありそうだ。機会を作ってレシピの改良を研究していきたい。
余談ですが、丸いガラス瓶を、陽の当たる窓際に置くと家が焦げます
余談ですが、丸いガラス瓶を、陽の当たる窓際に置くと家が焦げます
参考文献
月刊「化学」2013年(68巻)12月号
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@nifty

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