旅行先が決められないので、好きな野菜の産地に行く

2018/03/06 16:00 

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フェティッシュの火曜日
 

旅行先が決められないので、好きな野菜の産地に行く

スーパーで買った野菜の産地で、楽しく観光できるだろうか。
スーパーで買った野菜の産地で、楽しく観光できるだろうか。
漠然と旅行というものをしたいと思っていた。だが優柔不断でどこに行ったらいいか分からない。何をしてもそこそこ良いような気がするのだ。

普通に選べないのならちょっと変わった選び方をしてみよう。スーパーで買った野菜の産地に旅行に行ってみた。楽しく観光できるだろうか。
(トルー)

旅行先が決められない

どこに行きたい、何をしたい、という願望はないのだが、漠然と「旅行」をしたいなあと思っていた。ゆっくり移動をして、着いた街をぶらぶらして、おいしいものを食べるのだ。すごく楽しいだろうなあとぼんやり考えていた。

しかしいざ旅行先を決めようとすると選択肢がありすぎて何も決められない。温泉もいいだろうし美術館もいいだろう。神社を巡ってみてもいいし何なら敢えて旅館から出ない、というのもいい。いいのだ。

いいのは分かるが、他より飛びぬけていい理由は見つからない。そうなるともう選べないのだ。選べないなら旅行しないという選択も「それもまたいい」となり、それが一番楽なので家でごろごろすることになる。優柔不断なのだ。
選べないのでどこにも行かない。
選べないのでどこにも行かない。
旅行先が決められないのだ。決められないならば、もう全然別の次元から旅行へ行く理由がやってきてくれればいいのだ。野菜の産地だ。好きな野菜の産地に行くのだ。
「なんか他と違う」というところが決め手。
「なんか他と違う」というところが決め手。
思いついた瞬間「あ、それでもいいかな」という気持ちになった。

中華街でどのお店にしたらいいか決められない時、急にイタリアンのお店を見つけたような気持ちだ。「あ、ここでもいいかな」そう思ったのだ。

スーパーを旅行代理店として使う

スーパーで売られている野菜には、産地が詳しく表示れているものがたくさんある。中には農家の方の顔写真が載っているものもあるのだ。多分消費者を安心させるために載せているのだと思うが、今回は旅行のガイドブックとして見てみよう。

東京から出発して、日帰りできそうな産地の野菜を探す。
爽やかな笑顔だ。静岡県浜松市北区都田町、それか天竜区春野町というところ。浜松はうなぎのイメージだった。
爽やかな笑顔だ。静岡県浜松市北区都田町、それか天竜区春野町というところ。浜松はうなぎのイメージだった。
この三つ葉は千葉県野田市。キッコーマンのイメージ。
この三つ葉は千葉県野田市。キッコーマンのイメージ。
QRコードを読んだところ長野県佐久市志賀というところを提案される。旅のお供としては親しみやすい良いフォルムだなと思う。
QRコードを読んだところ長野県佐久市志賀というところを提案される。旅のお供としては親しみやすい良いフォルムだなと思う。
この新玉ねぎはタイのチェンマイ地区。タイかー。タイを提案されたか。
この新玉ねぎはタイのチェンマイ地区。タイかー。タイを提案されたか。
絶妙に分からないところを提案される。トマトは浜松市だが行った先でうなぎが食べられるのか分からない。三つ葉も野田市だが多分キッコーマンとは関係ない場所なんだろう。突然タイと言われるし。

この、行き先についての情報が「野菜」しかないドキドキがたまらなかった(ネットでは経路以外は調べないことにしていた)。スーパーの野菜売り場を何十周もした。仕事帰りでスーツを来ていたので、本社から来た、商品の陳列をチェックしている社員の人だと思われていただろう。陳列は見やすかった。
長考の結果、大葉に決めました。愛知県豊川市下長山町天王下で作れらた大葉。
長考の結果、大葉に決めました。愛知県豊川市下長山町天王下で作れらた大葉。
愛知県豊川市の大葉に決めた。旅行をする日がたまたま3月3日のひな祭りで、猫も杓子も手巻き寿司を作る日だからだ。近頃、寒い冬がようやく終わって過ごしやすい気候になってきた。「春は手巻き」などと書いてあるパッケージを見ただけで明るい気持ちになる。

大葉に決めた。豊川市である。調べたらカレーうどんで有名な豊橋の近くだ。

大葉と新幹線に乗る

アホほど天気がいい。旅行日和だ。
アホほど天気がいい。旅行日和だ。
大葉と東京駅に来た。待ち合わせスポットの銀の鈴である。
大葉と東京駅に来た。待ち合わせスポットの銀の鈴である。
銀の鈴と大葉を撮ったらここで大葉と落ち合ったような雰囲気が出てしまったが、実際は家から一緒に来た。
新幹線だ。
新幹線だ。
とりあえず一緒に写真を撮る。
とりあえず一緒に写真を撮る。
朝だが、カツサンドとビールを買ってしまった。
朝だが、カツサンドとビールを買ってしまった。
大葉を眺めながらカツサンドを頬張りビールを飲んでいると「旅に出てよかった…!」という気持ちになった。カツサンドもビールも、このシチュエーションでしか味わえない特別な味がした。
車窓から富士山が見えて、大葉と一緒に眺めた。
車窓から富士山が見えて、大葉と一緒に眺めた。

豊橋ではない 牛久保に向かう

豊橋に着くと飯田線に乗って牛久保という駅まで向かう。
2両編成の飯田線。かわいい。
2両編成の飯田線。かわいい。
豊橋は、新幹線が停まる駅だけあって観光スポットがたくさんありそうな感じがした。カレーうどんもあるし、とよはし映画祭なるものも催されていた。

しかし今日は牛久保に観光に来たのだ。なぜならそこが大葉の産地だからだ。大葉の産地を見て、牛久保を観光することがこの旅の趣旨である。豊橋には1秒も滞在せずに飯田線に乗りこんだ。
そして着いた。牛久保。
そして着いた。牛久保。
駅前の感じ。右の家、布団干しまくり。空が青い。
駅前の感じ。右の家、布団干しまくり。空が青い。

広大な牛久保の大地

なんてことない景色だが、東京で大葉を買って想像していた景色とは明らかに違っていて、ほうほうと感心しながら街を歩く。思っていたより住宅街だ。ここが大葉の最寄駅か。
まっすぐな道がずっと続いている。
まっすぐな道がずっと続いている。
大きな道に出た。まずは大葉の産地へ向かう。
大きな道に出た。まずは大葉の産地へ向かう。
ひたすらまっすぐ行く。
ひたすらまっすぐ行く。
車がビュンビュン通る幹線道路の脇を大葉と歩いて行く。歩行者とはすれ違わない。大葉もこの道路を通って東京まで来たのかもしれない。

人の手で、新幹線と徒歩で元いた場所に戻されるとは思わなかっただろう。すごろくで、「あがり」のマスの1個手前に「ふりだしに戻る」があったりするが、この大葉はそれに止まってしまったような気持ちかもしれない。

でもどうか安心してほしい。この旅が終わったらまたすぐに「あがり」である。
こんな景色が続く。
こんな景色が続く。
急に城(ホテル)が現れたりもした。
急に城(ホテル)が現れたりもした。
30分ほど歩くと畑やビニールハウスが目につくようになってきた。天気が良くて暖かいので歩くのも楽しい。
まっすぐまっすぐ歩いたら、
まっすぐまっすぐ歩いたら、
着きました!
着きました!
着いた。東三温室園芸農業協同組合さんである。大葉の産地だ。
大葉と自撮りをした。
大葉と自撮りをした。
ここから出荷され、そして戻って来た大葉。
ここから出荷され、そして戻って来た大葉。

多分ここが産地だ!

東三農協さんである(そう略すのかどうか分かりませんが)。この旅の一番の目的は見事果たした。

しかし産地になっている住所にはのっぺりした大きな建物があるばかりである。なんとなくビニールハウスや畑が広がっているのかと思っていたが、そういう訳ではないみたいだ。
人もいない。
人もいない。
建物の中に入って大葉をどこで育てているのか聞いてみたかったが、旅行者の好奇心のために職員の方の手を煩わせてしまうのも申し訳ないなと思い建物の周りをぐるぐるしていると、大葉の香りがするビニールハウスを見つけた。
多分ここだ! ここ出身だ、この大葉は!
多分ここだ! ここ出身だ、この大葉は!
このビニールハウスのどこかで育った大葉が収穫され、ラッピングされ、東京に運送され、スーパーに陳列され、買われ、新幹線に乗って帰って来たのだ。ロマンがあるような無いような話である。

それにしても大葉を選んで良かった。香りに特徴のない野菜だったらビニールハウスの外からは分からなかっただろう。やっぱりロマンはある。

旅に連れ出してくれた大葉に感謝をしながらビニールハウスを見せてまわった。

牛久保周辺の見どころ1.『牛久保城跡』

大葉の産地巡礼。この旅の一番の目的は果たした。ではその大葉が連れて来てくれた街は旅行先としてはどうだろうか。
駅前にあった看板。牛久保城の跡だそうだ。
駅前にあった看板。牛久保城の跡だそうだ。
牧野成勝(しげかつ)が今橋城主(のちの吉田城主)の信成(のぶしげ)の命を受けて築城した城だそうだ。登場人物が一人も分からない。元禄十三年に廃城になってしまったらしい。
のちにこちらが築城したという訳だ。
のちにこちらが築城したという訳だ。
2代目牛久保城だ。
2代目牛久保城だ。

牛久保の見どころ2.『御食事 一休』

ご飯を食べたいなら『御食事 一休』である。
ご飯を食べたいなら『御食事 一休』である。
駅前にあった定食屋さんだ。東三農協へ向かう大きな道路に出れば飲食店はいくつかあるが、旅ならではの地元の雰囲気を味わいたいなら『一休』である。
カツ丼、ラーメン、串かつ定食と、なんでもある。
カツ丼、ラーメン、串かつ定食と、なんでもある。
コロッケ定食を頼んだ。
コロッケ定食を頼んだ。
お味噌汁が八丁味噌で新鮮だった。おかみさんがホールを担当していたのだが、どのお客さんとも親しげに話していて、地元の方の憩いの場なのだと感じた。天井の隅にあるテレビからは吉本新喜劇が流れていた。東京に住んでいる筆者にとっては新鮮であった。
食後にもらった甘いアイスコーヒーがおいしかった。
食後にもらった甘いアイスコーヒーがおいしかった。

牛久保周辺の見どころ3.『JAひまわり Aコープ小坂井店』

牛久保で作られた大葉がここでも買えないかと調べてみたら、隣の駅の小坂井というところに直売所があるという。
ここだ。Aコープ小坂井店。
ここだ。Aコープ小坂井店。
直売所は時間が終わってしまっていて、テントが片付けられてしまっていたのだが、この中のスーパーに同じ大葉が売っていた。
買った。東京で買った大葉と、小坂井で買った同じ大葉。
買った。東京で買った大葉と、小坂井で買った同じ大葉。
店先に屋台があって、いちご大福も買った。ため息が出るうまさだった。
店先に屋台があって、いちご大福も買った。ため息が出るうまさだった。
大葉の産地に旅行に来たのだ。どうしたってお土産は同じ大葉だろう。大葉を手に旅行に出て、それを二つに増やして帰ってくるのだ。なんか昔話みたいで良い。
二つになりました。
二つになりました。
見どころは、近くにあった『園芸ショップ小坂井』の、肥料成分の割合が書いてあるポップ。レタリングがすごく丁寧だ。
見どころは、近くにあった『園芸ショップ小坂井』の、肥料成分の割合が書いてあるポップ。レタリングがすごく丁寧だ。

野菜の産地で観光はできるか

大葉を買った後は、街をぶらぶらして豊橋に戻り、東京に帰って来た。途中飯田線のワンマン運転から降りる方法が分からず(先頭車両からしか降りられないらしい)、乗り過ごしてしまったりしたが、そういう時間の流れ方も優雅で良かった。

旅行前はどうなるか分からないドキドキがあり、着いた先では程よく新鮮な景色があった。穏やかなミステリーツアーのようだった。牛久保が良いところだった可能性も大いにあるが、野菜の産地への観光、かなり良いんじゃないだろうか。大葉、ありがとう!
帰りの新幹線。
帰りの新幹線。

ギリギリまで迷っていた

この旅行、愛知県豊川市の大葉にするか、長野県佐久市のエリンギにするかギリギリまで迷っていた。時期的に大葉が良いと思ったのだが、エリンギはフォルムがかわいくて良いのだ。

でも調べたらエリンギの産地までは駅から歩いて行けず、どうしてもレンタカーを借りることになってしまう。レンタカーの旅に慣れてない筆者は安全に旅ができる大葉を選んだ。

エリンギを選んでいたらどうなっていただろうか。こんなことを考えてワクワクできるのもこの旅のいいところである。
エリンギはフォルムが良い。
エリンギはフォルムが良い。
  

 
@nifty

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