1985年誕生「Windows1.0」を触ってみたら、恐怖のおっちょこちょいOSだった

2018/06/14 11:00 

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ロマンの木曜日
 

1985年誕生「Windows1.0」を触ってみたら、恐怖のおっちょこちょいOSだった

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デスクトップOSの世界シェアで、88%以上を誇るWindows。最新のバージョンはWindows10だが、いちばん最初のWindowsをご存知だろうか。

その記念すべき最初のWindowsが、Windows1.0だ。1985年に登場したこのOSは、87年に日本語版も発売されたがあまり出回らず、幻のOSとも言われる。

しかし、Windows1.0を搭載したPCのある場所が見つかった。その場所は今も昔も電気街でありつづける、秋葉原だった。
(辰井裕紀)

そいつは秋葉原のオフィスにあった

Windows1.0があるのは秋葉原にあるデータ復旧会社の「データSOS」さん。にぎやかな電気街側では無く、渋い昭和通り側にある。
今日も男性率が高そうな秋葉原駅
今日も男性率が高そうな秋葉原駅
こちらが今日一緒にWindows1.0をさわっていく宮澤謹徳さん。国家資格の情報処理安全確保支援士を持っている。合格率は17%程度の難関資格である。
日々、コンピュータのデータ救出を行っている
日々、コンピュータのデータ救出を行っている

いきなりパンフレットがカッコいい

まず彼に当時のWindows1.0搭載PCのカタログを見せていただいた。「そうそう、この感じ!」という、80年代特有のイイ雰囲気を醸し出すパンフ。
Windows1.0搭載PCのカタログ
Windows1.0搭載PCのカタログ
Windowsの紹介文もある。このときVerは書かれていなかった
Windowsの紹介文もある。このときVerは書かれていなかった
紹介されているのは「PC-9801VXシリーズ」。CPUはIntelの80286(8MHz)。さらにスイッチにより、10MHzに切り替えも可能という「昔、すげえ」と声が出るような機能も搭載している。RAMメモリは640Kバイト。

このスペックでも、フロッピー&ハードディスクドライブ搭載モデルの最上位機種「VX4」であれば、当時693,000円したのだ。

Windows1.0のシステム要件とは

ちなみに、Windows1.0のシステム要件(OSを動かすのに、必要なハードウェアの強さ)は、「はじめて使うMS-WINDOWS/技術評論社/一柳克・水口元一」によると・・・

① MS-DOSが実行できるパーソナルコンピュータ1台(本書はNEC PC-9801シリーズを使用します)
② フロッピーディスク・ドライブ2台(またはハードディスク)
③ 384Kバイトメモリ(アプリケーションを複数走らせるためには最低512Kバイトのメモリが必要)
④ 専用高解像度ディスプレイ(カラーまたはモノクロ)

だった。特に384Kバイトというメモリ容量がどれだけ少ないか、Windows10と比較してみよう。Windows10のシステム要件は2Gバイトなので、1.0の5461倍にもなってしまう。
Windows10(64bit版)は2Gバイト必要
Windows10(64bit版)は2Gバイト必要

当時といまのCPUの性能差は、26,081倍

なおCPUの数値を測る目安の一つにMIPSなるものがあるが、80286の10MHzだと1.5。それに対して、最新CPUのCore i7-8700Kは39,121 MIPS。実に26,081倍の性能である。
まるで勝負にならないとはこのこと
まるで勝負にならないとはこのこと

記憶容量は131万倍以上の差!

さらに、現在その半額以下の308,999 円で売られている最新PCと「CPU・メモリ・記憶容量」の3つを比較すると、これほどの差がある。

単純に容量で考えても、CPUは3,700倍以上、メモリは52,429倍、記憶容量にいたっては1,310,720倍である。というかよくそんな容量で大丈夫だったなWindows1.0。
もはや同じ土俵に立ったのが間違いでしたレベル
もはや同じ土俵に立ったのが間違いでしたレベル

Windows1.0搭載PC、登場

なお今回使用するPCは、Windows1.0の登場当時のものでは無く、その少し後のPC-9801USという機種だ。
昔、パソコン教室にあったPCってこんな感じだったな
昔、パソコン教室にあったPCってこんな感じだったな
それでもCPUはi386SX(16MHz)。メモリはRAMが標準で1.6Mバイトと、いまのPCと比べるとスペックはまったく及ばないレベル。しかし、これでもWindows1.0を動かすには快適だとか。
マウスも郷愁を感じさせるほどの古いタイプ
マウスも郷愁を感じさせるほどの古いタイプ

日本のパソコン発祥の地で売られていた、Windows1.0のFD

さて、ここで貴重なWindows1.0のフロッピーディスクの登場だ。中身はもうすでにハードディスクにインストール済みだが、ぜひ見てほしい。

秋葉原名物だった「ラジオ会館」の7階にあり、NECのPC展開の拠点で、日本のパソコン発祥の地と言われるBit-INN。そこのワゴンセールで100~500円程度で売られていたのが、これ。

シンプルかつスッキリ。それでいて時代を感じさせるデザイン
シンプルかつスッキリ。それでいて時代を感じさせるデザイン
中はコレ。説明書きもフロッピーディスク型になっているのが芸が細かい
中はコレ。説明書きもフロッピーディスク型になっているのが芸が細かい

MS-DOSを起動して……Windows1.0を起動!

それでは、いよいよWindows1.0が動かそう。

電源を入れると、まず画面に現れるのは実はWindowsではない。MS-DOSだ。呪文のようなコマンドを入力していく、往年の玄人向けOSである。

「固定ディスク起動メニュープログラム」なるものが出て、ここからMS-DOSを起動していく。
どっちのMS-DOSを起動しようかな
どっちのMS-DOSを起動しようかな
これがMS-DOSのコマンド画面
これがMS-DOSのコマンド画面
5.00と3.30、2つのMS-DOSがインストールされているが、5.00だと新しすぎてエラーが出てしまうので、3.30を起動。

そしてこのMS-DOSから、ようやくWindowsが起動できる。「WIN」とコマンドを入れてWindows1.0を立ち上げる。これだ。
「WIN」と入れて起動
「WIN」と入れて起動

音も起動画面も何もなし

「ようこそ」も何もなく、いきなりはじまる
「ようこそ」も何もなく、いきなりはじまる
なにか厳かなオープニング画面でも来るのかと思ったら、いきなりメニューがバンと出る。起動音もない。それもアイコンではなく、ファイル名が並ぶのみ。

しかも日本語版なのに、ぜんぶ英語だ。Windows95以降のPCしか使ったことのない人なら、ちょっとパニックになりそう。
使用可能メモリ、たったの225Kバイト
使用可能メモリ、たったの225Kバイト

なぜか背景色が真っ赤な「電卓」

まずさわるのは電卓である。ソフトを開くやいなや、赤バックに紫色の電卓という謎の配色が目に飛び込んでくる。魔界の入り口を思わせる色使いに、少々たじろぐ。
ドン小西もびっくりの謎配色でコンニチハ
ドン小西もびっくりの謎配色でコンニチハ
「プロフィール」が電卓の説明書を兼ねている、カルチャーショック
「プロフィール」が電卓の説明書を兼ねている、カルチャーショック
ちなみにこちらがWindows10の電卓。プログラマー用電卓や、日付の計算、速度やエネルギーの計算など、さらには前に行った計算を履歴に残せるなど、見違えるほど便利になっている。よくぞここまで育った。
とにかく多機能なWindows10の電卓
とにかく多機能なWindows10の電卓

Windows1.0唯一のゲーム、「リバーシ」あらわる

仕事に使うようなアプリケーションが大勢を占める中、ひとつだけゲームがある。それはリバーシ。乱暴に言うとオセロと同じようなゲームである。
起動すると別のアプリケーションの下に分割される形で表示される。実は最初のWindows1.0は、ウィンドウを重ねることが原則できなかった。

次の2.0からは重ねられるようになったので、この表示は1.0ならではの貴重なシーンなのだ。
これがリバーシだ
これがリバーシだ
実はコンピュータオセロは1985年当時から強く、その実力は「世界王者が敗れた」こともあるほど。それに怖気づいた結果、いちばん弱い「初心者」モードにした。
33年前のWindows1.0の腕前に怖気づく
33年前のWindows1.0の腕前に怖気づく
リバーシの石と言えば白と黒だが、これは赤と青。このケバケバしさが往年のコンピュータらしさだ。

人間様、大惨敗

さあ戦いだ。こちら人間軍は宮澤さんと筆者のふたり。コンピュータ軍はWindows1.0、しかもマシンのCPUはシングルコアの16Mhzという、今からするととんでもない低スペック。

これは人間の尊厳においても勝っておきたい。
なぎら健壱も泣くほどの「悲惨な戦い」
なぎら健壱も泣くほどの「悲惨な戦い」
このとおり、惨敗である。
盤上も、人間軍の顔も真っ青
盤上も、人間軍の顔も真っ青
最後は時間の関係上、人間軍が雑にプレーしたのは否めないが、こちらが着手した瞬間に次の手を打つ、Windows1.0リバーシの読みの強さに脱帽。

もはや、どれだけこちらがウンウン考えても、結果は似たようなものだったことは確か。すでに1985年の時点で、僕らふたりにとってのシンギュラリティは起きていたのだ。

コントロールパネルは“超スーパーシンプル”

次は、いまのWindowsではきわめて多くの設定項目でいっぱいの「コントロールパネル」である、まずは参考に、Windows10のコントロールパネルを見てみよう。
これでもかと多数の項目が並びまくる
これでもかと多数の項目が並びまくる
そしてこちらが、Windows1.0のコントロールパネルである。
たったの4つ。ちょっと豪華な定食の皿の数より少ない。当時の設定項目は本当に少なかったのだ。
たったの4つ。ちょっと豪華な定食の皿の数より少ない。当時の設定項目は本当に少なかったのだ。
ただ、上のプルダウンメニューから、ほんの少しだけ他の項目が出てくる。
「選択」に他の項目が少しある
「選択」に他の項目が少しある

プルダウンメニューの操作がめんどう

ちなみにこのプルダウンメニューはいまのように「一回上をクリックしたらそのまま出っぱなし」ではなく、押したままにしないと引っ込んでしまう。

クリックしたまま、押したい項目のところで、指を離してはじめて選択ができる。いちいち「ドラッグ&ドロップ」が必要な感覚だ。ビル・ゲイツにラリアートをかましたいほどの面倒さ。

スクリーンの色を自由に変えられる

その中にある「スクリーンの配色」をクリック。すると、妙に気合の入った設定画面が登場する。

他の設定項目に比べてややペース配分を間違えているような鼻息の荒さだが、これを動かすのはちょっと楽しい。
なんでこんなに、ここに力を入れた? とばかりの気合の入れよう
なんでこんなに、ここに力を入れた? とばかりの気合の入れよう
画面転換するシーンがちょっとカッコいい
画面転換するシーンがちょっとカッコいい
国名設定には「西ドイツ」の名がある。ちなみに「ソ連」は無い
国名設定には「西ドイツ」の名がある。ちなみに「ソ連」は無い

なぜかアナログ表示の「時計」

次は「時計」である。デジタル表示では無く、なぜかアナログ時計の表示がそのままされている、いまではほぼお目にかかれないデザインだ。
なぜかちょっと縦長のフォルム
なぜかちょっと縦長のフォルム
このように時を刻む
このように時を刻む
ただただ時計の針が動く様子を目の当たりにできる、ストイックなソフト。それが発売から33年後のいまでも、時を刻み続けている。

こんどは背景色が青すぎる「カレンダー」

続いてはカレンダー。やたらコントラストの強い青色をバックにした画面に、ドーンとスケジュール帳が登場する。1985年誕生のアプリケーションが、しっかり2018年の日時を示す。

時間が来たらアラームで音も出せるので、目覚まし時計的な役目も果たせる。これがあればPCの前で寝落ちしてもOKだ。
カレンダーの日付もちゃんと現代を示している
カレンダーの日付もちゃんと現代を示している
アラームもあり、目覚まし時計にも使えそう
アラームもあり、目覚まし時計にも使えそう
色々つかいこなすと、こんな感じになる。ウインドウを重ねられないので、タイル表示(ASCII 1987年2月号より)
色々つかいこなすと、こんな感じになる。ウインドウを重ねられないので、タイル表示(ASCII 1987年2月号より)

貴重な通信ソフト「ターミナル」

Windows1.0の中でキラリと光るソフトが「ターミナル」。通信ソフトで、Telnetという、パソコン通信に今でも細々と使われている形式でも接続できる(らしい)。

しかし今回のマシンにはモデムがない。モデムを買って取り付けて、電話回線を占領してネットをつないだりすると、データSOSさんの営業にご迷惑をおかけしそうなのでやめた。
「1200(bps)」という回線速度の設定が時代を思わせる
「1200(bps)」という回線速度の設定が時代を思わせる
ここから電話もかけられる
ここから電話もかけられる

いまでは失われた「カードファイル」

「カードファイル」というソフトもある。カード型のウィンドウにデータを入力していき、住所録、電話番号録などとして管理するソフトだ。
もうなくなったソフト「カードファイル」
もうなくなったソフト「カードファイル」

メモ帳には「サンプルファイル」がある

メモ帳といえば真っ白できわめてシンプルなイメージのソフトだが、1.0のそれにはいわゆるTO DOリストのサンプルファイルのようなものがある。

いちばん最初はこのように、「みほん」的なファイルがあったのだ。
メモ帳。サンプルファイルがある
メモ帳。サンプルファイルがある
「新しいスーツを買う」「車を車検に出す」「ピアノの調律師を呼ぶ」など一つ一つの項目も、どこか時代を感じさせる。

メモ帳で文字を打つ→苦行

さあ、このメモ帳で文字を打ってみよう。現代のWindowsでは当然、タイピングをするとカーソルのあるところに文字が出るが、当時1.0に搭載されていた「AIかな漢字変換(NEC)」ではいちばん下に文字が出る。

さらにエンターを押すと、やっと文字がカーソルのあるところに移動する。これが非常にやりづらい。「なぜカーソルのところにはじめから文字が出ない?」と地団駄を踏む。

文字を消すのもいちいち文字列を選択しなくてはならなかったり、変換にもひと苦労だったりと、とにかく自分の意のままに動いてくれないWindows1.0の文字入力。“火渡り”のような苦行だ。
思うように打てず、途中からあきらめる
思うように打てず、途中からあきらめる
結果、この有様です
結果、この有様です
天才チンパンジー・アイが打ったほうが上手いのではと思わせんばかりの誤字脱字ショー。正直ここまで日本語が打ちにくいシステムははじめてだ、おそるべしWindows1.0。

「ライト」と「ペイント」は見つからず

ちなみに、全国200人のWindows1.0フリークの方は、「『ライト』と『ペイント』はないの?」とお思いかも知れない。

ライトはいまのワードパッドのようなソフトで、ペイントはいまのWindows10にもある、簡易的な画像編集ソフト。結論から言うと、これらのソフトはインストールされていなかった。

フロッピーディスクの方に入っているのでは? と捜索してもらったが、ライトとペイントは見つからなかった。
フロッピーのほうにあるのではと、探してもらったが
フロッピーのほうにあるのではと、探してもらったが
なお後日これについて調べてもらったところ、実はフロッピーは3枚あるはずだったそうだが、買ったセットには2枚しか無く、その3枚目に収録されていたのでは、とのこと(初期出荷版にはバンドル自体がされていなかったという説もある)。
ちなみに「ライト」はこんな感じ。(ASCII 1987年2月号より)
ちなみに「ライト」はこんな感じ。(ASCII 1987年2月号より)
実は「ライト」と「ペイント」を使って、Windows1.0で記事を書こうという企画も立てていたのだが。またいつかの楽しみにとっておくことにした。

Windowsも「おっちょこちょい」からはじまった

営業中の店舗でお時間を拝借いただいている上で時間がなく、少々急いでの体験だったが、色々とおっちょこちょいなWindowsの元祖にふれることができて本当によかった。

このWindows1.0だが、発売当初のPCではあまりに重すぎて、不評の嵐だったという。特にウィンドウを何個も立ち上げたときは実用に耐えなかったとか。

88%という圧倒的シェアを誇るWindowsだが、「最初はけっこうダメだった」。そう、何事も挽回できるということだ。だから今日、キミがウンコをもらしたとしても、挽回すれば良いのだ。

なおデータSOSさんでは、消えてしまったデータを復活させる処置を行っており、SDカードなどのデータ復活は、2万円くらいから受け付けてくれるという。テレビ関係の人などの「データが消えてしまった……!」という悲劇からの駆け込み寺になっているとか。

もしそんなアクシデントが起こったら、こんな面倒な企画に快く付き合っていただいた宮澤さんの会社を頼ってほしい。
SDカードのデータ救出法の一つ。大量の線をつなぐことで復旧できる
SDカードのデータ救出法の一つ。大量の線をつなぐことで復旧できる

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