貿易黒字:対米で続く高水準 懸念のトランプ政権との火種

2017/04/20 21:49 

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 ◇16年度の貿易統計、貿易収支が6年ぶりに黒字転換

 財務省が20日発表した2016年度の貿易統計(速報、通関ベース)は、輸出から輸入を差し引いた貿易収支が4兆69億円の黒字となり、東日本大震災前の10年度以来、6年ぶりに黒字転換した。トランプ米大統領が問題視している対米貿易黒字額は5年ぶりに減少したものの、6兆6294億円と高水準が続く。貿易不均衡の是正を求めるトランプ政権との間の火種はくすぶり続けそうだ。

 日本の貿易収支は、11年の東日本大震災後に原子力発電所が停止し、火力発電用の燃料輸入が急増して以来、赤字が定着していた。

 だが、16年度は円相場の平均が1ドル=108円41銭と、15年度(120円39銭)から10円以上、円高が進行。原油や液化天然ガス(LNG)などの輸入額が2割近くも減り、全体の輸入額を押し下げた。輸出額も2年連続で減少したが、輸入額の大幅な減少で黒字を確保した。

 対米黒字額は、液化石油ガス(LPG)の輸入増などで前年度比8.2%減だった。ただ、自動車の輸出額が4兆3658億円に上る一方、米国車の輸入額は932億円にとどまり、日本の自動車輸出が貿易黒字を稼ぎ出す構造に大きな変化はみられない。米国での自動車の現地生産は進んでいるものの、それに伴って「日系企業の現地工場向けの部品輸出が伸びている」(財務省)状況もある。

 トランプ政権は、ペンス副大統領が19日の東京都内での講演で「均衡のとれた貿易関係を求める」と述べるなど、対日貿易赤字の削減に強い意欲を示している。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「トランプ政権の景気刺激策によって米国の景気が加速すれば、18年以降は米国の輸入が増えて対米黒字がさらに拡大し、通商問題での圧力が強まる可能性がある」と指摘する。【中島和哉】

毎日新聞

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