AT&T:ワーナー買収承認 通信メディア統合加速

2018/06/13 19:44 

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 ◇首都ワシントンの連邦地裁 米司法省の主張退ける

 【ワシントン清水憲司】米通信大手AT&Tによる米メディア大手タイム・ワーナー買収計画をめぐり、首都ワシントンの連邦地裁は12日、差し止めを求めた米司法省の主張を退け、買収を容認する決定を行った。米国の動画配信市場は主流がケーブルテレビからスマートフォンにシフト。ネットフリックスやアマゾン・コムなど新興勢力が台頭している。今回、巨大通信・メディア連合の誕生が容認されたことで、合従連衡が加速しそうだ。

 ケーブルテレビを含む通信事業を展開するAT&Tは2016年10月、映画スタジオやニュース専門チャンネル、CNNテレビなど豊富なコンテンツを持つワーナーを854億ドル(約9・4兆円)で買収すると発表した。異業種が互いの強みを持ち寄る「垂直統合」で、急速に台頭するネットフリックスなどに対抗する狙いだった。

 これに対し、司法省は昨年11月、買収は競争を阻害し、競合他社にワーナーのコンテンツが高く販売されるなど消費者の負担が重くなるとして差し止めを求めて提訴した。

 買収計画は、トランプ大統領に批判的なCNNを対象に含む。トランプ氏は大統領就任前に「権力が集中し過ぎる。私の政権では認めない」と明言しており、この点からも裁判所の判断が注目されていた。

 連邦地裁は12日の決定で、司法省が競争阻害を立証できなかったと判断。AT&Tに一部資産の売却を求めるなどの買収条件も付けず、司法省の主張を全面的に退けた。司法省は地裁判断を精査し、上訴するかどうかを検討するとしている。

 AT&Tは地裁決定を受けて今月20日までに買収手続きを完了させる方針を表明。ワーナー傘下で人気ドラマを手掛ける有料放送、HBOのコンテンツなどを活用し、スマホなど携帯端末向け配信を強化する見通しだ。

 米メディア業界では、昨年12月、娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーが、メディア大手「21世紀フォックス」から映画スタジオなど一部事業を買収すると発表。これに対抗して、米通信大手コムキャストが13日にも、21世紀フォックスの事業買収計画を表明すると報じられており、買収合戦に発展する可能性が高い。今回の地裁決定について市場では「通信・メディア統合の独禁法上のハードルが下がった」と見られており、再編の動きが広がりそうだ。

毎日新聞

経済

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