シリア:和平停滞 政権と反体制派、大統領退陣折り合わず

2018/01/10 19:10 

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 【カイロ篠田航一】内戦が続くシリアでは国連やロシアなどの仲介で和平の模索が続く。だがアサド政権と反体制派の交渉は「アサド大統領退陣」を巡り停滞したままだ。1月には北部イドリブ県や首都ダマスカス近郊で反体制派地域への攻撃が激化、民間人死傷者や新たな避難民も発生しているという。30万人以上の死者と500万人の難民を生んだ紛争に終わりは見えないままだ。

 和平協議は国連が主導し、スイス・ジュネーブで断続的に続く。だが昨年11月は反体制派が「アサド退陣」を交渉入り条件とし、アサド政権が反発。直接交渉はなかった。

 一方、アサド政権を支援するロシアとイラン、反体制派を支援するトルコが主導する協議もカザフスタンの首都アスタナで定期的に開かれている。昨年は戦闘行為を禁じる「緊張緩和地帯」をシリアに設け、3カ国が監視することで合意したが、戦闘は続く。ロシアは1月中に南部ソチで「シリア国民対話会議」を開く。アサド政権は参加するが反体制派は拒否するという。

 一方、反体制派の拠点はほぼイドリブ県のみで、大半がアルカイダ系組織「シリア解放機構」の支配下だ。この組織は昨年1月、「シリア征服戦線」(旧ヌスラ戦線)など反体制派内の複数の非主流派が結集した。

 ロシアのラブロフ外相は昨年12月27日、こうしたアルカイダ系組織の掃討を「次の課題」と指摘。アサド政権は現在、イドリブ県などで掃討作戦を強化し、AP通信によれば今月8日にも14村を制圧した。激しい空爆や砲撃も行われ、在英のシリア人権観測所によると7日以降、21人が死亡。8日には車爆弾で25人が死亡し100人が負傷した。ダマスカス近郊東グータ地区でも戦闘で12月29日以降159人が死亡したという。今月はロシア軍基地への無人機攻撃やイスラエル軍機による空爆も発生した。

 トルコのチャブシオール外相は9日、アサド政権が過激派掃討を口実に反体制派を攻撃しているとロシアとイランの大使に抗議した。

 シリア北部では少数民族クルド人主体の民兵組織「シリア民主軍」(SDF)が勢力を拡大している。隣国トルコは自国内のクルド人組織「クルド労働者党」(PKK)をテロ組織に指定、SDFとPKKの連携に警戒を強めており、衝突も懸念される。

毎日新聞

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