イタリア:難民受け入れ拒否でEU内亀裂浮き彫りに

2018/06/14 20:09 

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 【パリ賀有勇】イタリアで今月1日に誕生した欧州連合(EU)懐疑派の新政権が、地中海で救助された難民の受け入れを拒否する強硬姿勢を見せている。これを受け、フランスのマクロン大統領が「無責任」と非難する一方、東欧諸国はイタリアを支持。移民・難民問題を巡るEU内の亀裂の深さが改めて浮き彫りになっている。

 問題となっているのは、アフリカなどからの629人の難民を、9日に地中海のリビア沖で救助したフランスの非政府組織(NGO)の船の扱いだ。

 各国のNGOは従来、難民受け入れ施設のあるイタリアの港を拠点に活動を行ってきた。だが、イタリアのサルビーニ内相は10日、これまでの方針を改め、仏NGO船の入港を認めずに、救助地に近い地中海のマルタに受け入れを要請。マルタも拒否したことから、NGO船は、11日に受け入れを表明したスペインへ向かっている。

 マクロン氏は12日、「問題を直視しない無責任な対応」とイタリア政府を批判。イタリア首相府は「移民問題を直視しない国からの偽善的な教えは受け入れられない」と猛反発し、伊外務省は13日、駐伊フランス大使を召喚して抗議した。

 「偽善」という言葉で非難した背景には、スペインが受け入れを表明するまでマクロン氏が沈黙を保っていたことや、フランスが、イタリアとの国境の警備強化による移民の流入阻止を図っていることなどがあるようだ。

 EUのダブリン規則は、難民が域内で最初に到着した国で保護申請することを義務付けており、受け入れ拠点となってきたイタリアやギリシャには負担となってきた。イタリアには過去4年で60万人超の難民らが流入。ダブリン規則の見直しは進まず、難民らはイタリア国内で滞留しているのが現状だ。

 3月のイタリア総選挙で、こうした状況に対する国民の不満の受け皿となったのが、サルビーニ氏が率いる「同盟」。イタリアの連立政権の一翼を担い、移民排斥を訴える。同様にEUの移民・難民政策に反対するハンガリーのオルバン首相は、今回のイタリア政府の対応を「全面的に支持する」と表明した。

 マクロン氏とイタリアのコンテ首相は15日にパリで会談し、事態沈静化に向けた協議が行われる見通しだ。だが、サルビーニ氏は今後も外国船籍の救助船を受け入れない強硬姿勢を崩しておらず、EU内の足並みの乱れは続くとみられる。

毎日新聞

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