NATO首脳会議:米、国防費引き上げ圧力 独を標的に

2018/07/11 20:38 

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 【ブリュッセル八田浩輔、高本耕太】北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が11日、ブリュッセルの本部で2日間の日程で開幕した。米露首脳会談を16日に控え、NATOとの軍事的緊張が高まるロシアへの対処で結束を演出できるかが焦点だ。だが米欧間の貿易摩擦も影を落とす中、トランプ米大統領は加盟国への国防費引き上げ圧力を強化。ドイツへの批判を繰り返すなど波乱含みの開幕となり、欧州側には不快感も広がっている。

 NATOは2014年、対露関係の緊張高まりを受け、24年までにすべての加盟国が国防費を国内総生産(GDP)比で2%以上に引き上げる目標を設定した。だが18年中に達成が見込まれるのは、加盟29カ国のうち米英やロシアに近い東欧中心の計8カ国のみだ。一方で米国はNATO全加盟国の国防支出の7割近くを占める。

 こうした点に不満を持つトランプ氏は首脳会議に先立ち、「NATO加盟国はもっと多く、米国はより少なく払うべきだ。とても不公平だ」などと欧州の加盟国を批判するツイートを繰り返した。

 とりわけトランプ氏が標的とするのは欧州最大の経済大国ドイツだ。ドイツの国防費はGDP比約1・2%で、24年までの引き上げ目標も1・5%にとどまる。米紙ワシントン・ポストは6月末、米国防総省が欧州の安全保障の重要拠点であるドイツの駐留米軍の撤収や移転の影響を検討していると報じた。米国防総省はこれを即座に否定したが、欧州側には、国防費の引き上げ要求と米軍再編とを関連付けた「脅し」との受け止めも広がる。

 メルケル独首相は11日、記者団に「ドイツはNATOに大きく貢献している」と不快感をあらわにした。

 これに対し、トランプ氏はNATOのストルテンベルグ事務総長との11日の会談で、ドイツが天然ガスをロシアからの輸入に依存する現状を指し「ロシアに完全に支配されている」と痛烈に非難。さらに「ロシアに何十億ドルと支払う国を我々がロシアから守る、ということは道理が通らない」とまくしたてた。

 その後、NATO本部で会談に臨んだ両首脳は「首相とはすごく良い関係だ」(トランプ氏)「米国とは良きパートナー同士」(メルケル氏)とカメラの前で互いをたたえ合ったが、共に表情は硬いままだった。

 ストルテンベルグ氏は10日の記者会見で「国防費引き上げについてトランプ大統領のリーダーシップには感謝している」と、苦し紛れの「謝意」を伝えていた。トランプ氏は首脳会議を前に、ドイツ、ベルギー、ノルウェーなどGDP比で国防費が低い国に対し、十分な負担をしていないと非難する書簡を送付。ノルウェーはストルテンベルグ氏の出身国だ。また、書簡を受け取ったベルギーのミシェル首相は「好感を持てない」と明かした。

 首脳会議に出席する欧州連合(EU)のトゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)も10日の記者会見で、「数少ない同盟国を大切にすべきだ」とトランプ氏にくぎを刺した。

 首脳会議では対露抑止力の強化などが主要な議題だ。だがトランプ氏はNATO首脳会議の後に控える訪英、米露首脳会談も含めて一連の訪欧日程では「正直、プーチン大統領(との会談)が最も簡単かもしれない」と述べるなど、欧州側の神経を逆なでし続けている。

毎日新聞

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