有識者会議:特別立法「柔軟性に利点」退位論点整理へ詰め

2017/01/11 22:27 

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 天皇陛下の退位に関する安倍晋三首相の私的諮問機関「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(座長・今井敬経団連名誉会長)は11日、第8回会合を首相官邸で開いた。会議では政府が検討している今の陛下に限り退位を認める特別立法について「状況に応じて柔軟に対応できる」と支持する意見が出た。退位を制度化すると将来の変化に対応できないという指摘だが、一方で時の政権の意向が反映しやすいという危険も残る。

 論点整理では、退位実現の手法として特別立法と皇室典範改正を併記し、利点や問題点を比較する。特別立法は柔軟かつ迅速に対応できるとする一方、典範改正は議論に時間がかかるとして、特別立法での対応が望ましいとの考えを示す。

 11日の会議では「特別立法は国会でその都度、国民の意思を反映して状況に応じた慎重な審議ができる」との声があがった。将来の天皇の意思や世論は現時点では予測できない。退位という国の重大問題については、その時々の政治に判断を委ねるべきだという考えだ。

 強制や恣意(しい)的な退位を防ぐための退位の要件化については、昨年12月14日の前回会合では「今の状況では全部決めきれないから困難」とする意見があった。議論に手間取れば高齢の陛下の退位時期が遅れる可能性がある。こうしたこともあり、恒久的な制度化でなく、その時々の国会が柔軟に対応できる特別立法で対応するのが望ましいとの認識で大筋一致した。

 ただ、特別立法に対しては、民進党が時々の国会の多数によって退位の是非が左右される可能性を指摘している。退位が制度化されなければ、どのような場合に天皇が退位するのかという共通認識が国民の間に形成されない。このため、皇位継承制度の安定性という面からは不安が残る。

 特別立法には別の問題点も指摘される。憲法2条は、皇位継承について「皇室典範の定めるところ」と記す。ジャーナリストの岩井克己氏は退位を容認する一方で、特別立法での対応は「典範の権威・規範性を損なう」として、典範改正が筋だと主張した。政府内では典範の付則に特別立法でも対応できるとする根拠規定を新たに書き込む案も検討されており、論点整理にも盛り込まれる。

 また退位の手続きに客観性を持たせるため、首相や衆参両院正副議長、皇族代表らで構成する皇室会議の審議を要件とする案を、複数の専門家がヒアリングで提案した。しかし、11日の会議では「皇室会議の関与を強調しすぎることは行政権、立法権で問題がある」と否定的な意見が出た。

 有識者会議は安倍首相が出席予定の23日の会議で、特別立法での対応が望ましいとする「論点整理」を公表する見通しだ。【野口武則】

毎日新聞

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