私設金物資料館:15日閉館「笑顔の花道に」 愛知・碧南

2017/10/12 15:15 

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 愛知県碧南市で、幕末の錠前など昔の金物を展示してきた私設の「金物資料館」(同市浜寺町)が10月15日に閉館する。178年の歴史を紡いだ金物店「鍋勘(なべかん)商店」の6代目店主、加藤勘恵(かんえ)さん(83)が看板を下ろした後、代々伝わった品を資料館で無料公開してきた。「先祖から受け継いだ貴重な品々を残したい」と一部を神戸市の博物館に寄贈するという。

 鍋勘商店は江戸時代の1831(天保2)年創業とされる。ホームセンターに客が流れ、道路拡張で移転を余儀なくされたこともあって2009年、看板を下ろした。今は品を限って、近くで細々と営業を続けている。

 移転した際、珍しい昔の金物を含め数万点もの在庫があった。その品ぞろえを惜しむ声があり、加藤さんは11年、近所の大浜街道沿いに資料館を開いた。江戸時代に作られた製材用のこぎりの前挽大鋸(まえびおが)、今は製造されていない大きな鉄釜、幕末から昭和にかけて作られた錠前などが展示されている。

 加藤さんが集めた品も多い。伊勢湾台風(1959年)の被災地復興時にトロッコのレールを枕木に固定するため使われた犬くぎ、地域ごとに特徴のある草刈り鎌などだ。さまざまな顧客に対応しようと売れ行きの少ない商品も仕入れていた。

 加藤さんは自ら資料館に展示品を並べ、説明も書いて運営してきた。しかし、「足腰が衰え、重い物が持てなくなった」と閉館を決めた。前挽大鋸など歴史的価値のある金物は神戸市中央区の博物館「竹中大工道具館」に寄贈する。残る品は、愛知県西尾市で建築会社を営む三矢昌行さん(42)が引き取ってくれることになった。

 閉館日の10月15日は、地元のイベント「大浜てらまちウオーキング」が催され、毎年多くの人でにぎわう。金物に情熱を傾けてきた加藤さんは「子どもたちが資料館も訪ねてくれる。その笑顔で花道を飾りたい」と話している。【森本弘美】

毎日新聞

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