信越線立ち往生:発車1分で停止 過小評価、判断裏目に

2018/01/12 21:12 

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 雪に慣れたはずの新潟で、満員状態の信越線普通電車が15時間半も立ち往生する異常事態。12日に記者会見したJR東日本の経緯説明からは、事態を過小評価し、現場判断がことごとく裏目に出た様子が浮かび上がった。混み合った車内では乗客たちが互いに助け合いながら運転再開を待った。

 JR東によると、積雪時は運転士と支社指令室が連絡を取り合って運行を判断する。電車は午後6時55分、東光寺駅を発車。当時線路には大量の雪が積もっていたが、電車前面に雪をかき分ける金属板が付いており、「前進可能と判断した」(新潟支社広報室)。しかし発車して300メートル、1分もたたないうちに電車の前にたまった雪で停止した。

 東光寺駅に戻ることも検討したが、無人駅でホームに雪が積もっており乗客を避難させるのは困難。さらに停止位置は踏切近くで警報機が鳴り出した。この警報機は、鳴り始めてから後退すると、再整備が必要になる。「警報機の不具合で後続列車が通行できなくなるリスクを冒してまで戻る意味はない」と判断。約2.3キロ先の帯織駅を目指し、近隣駅から応援を得て人力での雪かきを試みた。

 しかし、雪かきを上回る速さで雪が積もり、運転再開に失敗した。代替輸送としてバスやタクシーの手配を試みたが、周囲は細い農道で、近くまでバスを寄せるのは不可能と判断。午後7時半ごろには、長岡、新潟両市内に待機していた除雪車を出動させる準備に入ったが、積雪量が多く、現場到着は翌朝にずれ込んだ。

 車内は暖房が利いていたが、乗客は約430人と満員状態で立っている人も多かった。トイレは1カ所しかなく、飲み水を我慢する人もいた。12日午前0時前後から体調不良を訴える乗客が出始め、救急搬送された。水や食料の配布も午前2時40分ごろからと後手に回った。

 JR東は当初、「ふぶいているうえに真っ暗な中、線路を歩くのは危ない」との判断から乗客が車外に出ることを認めなかった。しかし、付近で迎えに来た家族の車が列をなしたのを受け、午前4時半ごろから迎えの車が来た乗客に限り降車を認めた。

 乗客は疲労の色を見せながらも、自発的に席を譲り合うなどして運転再開を待った。乗客の一人で新潟県見附市の矢内すま子さん(68)によると、立ち往生してしばらくした頃、80代くらいの女性が「席を代わりましょう」と周囲の乗客に声をかけた。女性は気遣いをみせる高校生に「座っていると腰が痛くなるのよ」と穏やかに対応していた。このやりとりをきっかけに席を譲り始める光景が広がったという。

 高校生の息子を迎えに来た見附市の公務員、鳥羽一郎さん(44)は「情報が少なかった。ホームページを見ても『運休』や『立ち往生』だけで、見通しや詳しい状況は分からなかった」と苦言を呈した。見附市の高校1年生、山内亜美さん(15)は「立ち往生の理由や復旧のめどについてさまざまな情報が飛び交っていた。何が本当なのかわからなかった」と困惑した表情だった。【南茂芽育、堀祐馬】

毎日新聞

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