市島三千雄:朔太郎も「天才的」 早世の詩人の詩集発刊

2018/01/14 12:07 

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 「日本近代詩の父」と称される詩人・萩原朔太郎(1886〜1942年)に「天才的」と評された一人の詩人がいた。生前、1冊の詩集も出さないまま早世した新潟市出身の詩人、市島三千雄(みちお)(1907〜1948年)だ。今冬、新潟市の詩人たちの手によって詩集「定本 市島三千雄詩集」(喜怒哀楽書房・全69ページで税込み2500円)が刊行された。【後藤結有】

 1907年、市島は同市中央区古町の洋品店に生まれた。幼くして父、祖父を亡くし、18歳で家業を継いだ。26年、地元の詩人らと共に詩誌「新年」を創刊。同誌や新聞紙面で創作活動を続けるも結核に侵され、40歳の若さでこの世を去った。没後、角川文庫の「現代詩人全集」に作品が収録されたのを機に、現代詩人の荒川洋治さん(68)が自らのエッセー集で取り上げるなど、県外にまで名声が広まったという。

 編集者の一人で新潟市東区の斎藤健一さん(68)は、市島の詩を「物音がする詩」と評する。20代のころ、初めて市島の詩に触れた。「現代の詩は翻訳調で整った詩。市島の詩は先が読めない。分からないから面白い」

 詩集の編集を決意したのは、「市島の息づかいが失われてしまう」との危機感からだった。90年にも別人の手によって詩集が刊行されているが、表記が直されていたり、年譜に誤りがあったりしたという。生前、市島と共に「新年」を発行していた詩人の話や詩誌を頼りに、2年の歳月をかけてまとめた。

 息づかいを保つため、全て原文の通りに掲載した。例えば、「草は赤を持つて來るのである」。斎藤さんはこの一節を「草は花を咲かせる」と解釈する。「花を咲かせる、という言葉を使わずに表現しているところが他の人にはできない」という。

 「意味は分からなくてもいい。詩は感じるもの。どう感じるかは読む人の自由」。斎藤さんは力を込めた。150部刊行。問い合わせは喜怒哀楽書房(025・250・9666)。

毎日新聞

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