ロシアW杯:「サッカー自体が一つの言語」日本人指導者

2018/06/14 09:00 

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 「サッカー自体が一つの言語であり、コミュニケーションの手段だ」。14日に開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)。開催国ロシアで地元の子どもにサッカーを教えてきた今村祐也さん(29)は、W杯を機会にして両国の橋渡しをしたいと願っている。

 福岡市出身の今村さんは、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクの大学で体育スポーツ学部に在籍中。その傍らでクラブチーム「FCアドミラルティーツ」の21歳以下の選手を教えている。

 小学1年でサッカーを始めた今村さんは、高校でも県の大会で準決勝に進んだのが最高で、全国大会に出られなかった。卒業後は運送会社で働き、21歳の時に極東のサハリンからモスクワまで列車を乗り継ぐ旅に出た。ロシアで出会った人とサッカーの話が意外に通じたこと、そしてゆっくりと時間が流れる魅力に引き込まれた。

 2011年にハバロフスクに移り住み、ロシア語を学び日本語教師として働きながら、知人のロシア人に勧められて子どもたちにサッカーを教え始めた。まだロシア語は拙かったが、プレーを通じ子どもたちと分かり合えると「大切なのは、どうコミュニケーションをとるかなんだ」と自信をつかんだ。

 その後にサンクトペテルブルクに移り5年。「ロシアでは想像よりもすごいことが起こるから楽しい。自分の中で受け入れる幅が広がった」と感じている。日本とロシアでそれぞれC級コーチ免許を取った今村さんは、間もなくサンクトペテルブルクの大学を卒業する。その後は日本やロシアだけでなく、旧ソ連の国々も視野に入れて、プロのコーチになりたいと思っている。

 近年はロシアのスポーツ界でドーピングがはびこっていたことが発覚し、ロシアのサッカー界まで悪い印象を持たれるようになった。だから今村さんは自分が教えるチームを日本に連れて行き、ロシアサッカーの印象を変えたいと考えている。選手の行動を少しでも改善させたいと願い、普段から「練習場にゴミを残していかないんだよ」「悪いことをしたら謝るんだよ」と指導している。

 14日に開幕するW杯では、多くの日本人がロシアを訪れる。今村さんは「せっかくロシアに来るのだから、その魅力を感じてもらいたい」と呼びかける。そして自分自身も「サッカーを中心にして両国の交流を築けたらいいな」と願っている。【モスクワ大前仁】

毎日新聞

スポーツ

スポーツ一覧>