国産原料でうまみしっかり 100年超の伝統守る「東松島長寿味噌」

2021/05/03 12:00 

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 健康に良いと人気を集める発酵食品。中でも食卓に欠かせない発酵食品といえば、みそではなかろうか。「仙台味噌(みそ)」と呼ばれる赤みそが伊達政宗の時代から食されるなど、宮城県とみそはなじみが深い。100年以上も伝統の味を守り続ける「東松島長寿味噌」の工場を訪問した。【藤田花】

 東松島市にある工場には、香ばしいみその香りが漂う。後藤秀敏工場長(52)の案内で中に進むと、さまざまな配管が張り巡らされた、高さ10メートル超のみそ仕込み設備が目に飛び込んできた。

 原料は大豆、米、塩だけ。蒸した米や大豆に麴(こうじ)菌を振りかけた後、2~3日間かけて「麴室(むろ)」と呼ばれる機械でほぐしながらかき混ぜ、麴を作る。蒸した大豆と麴、塩を合わせたみそを、1・5トンずつ巨大なステンレス製の容器に詰めるまでが仕込み作業だ。

 「発酵熟成室」と書かれた重厚なドアを開けると、約30度に温度管理された部屋にステンレス容器が積み上げられ、みその発酵が進んでいた。後藤工場長は「発酵を均一にするため容器をひっくり返す『天地返し』を2~3回繰り返し、次は温度を下げてゆっくり熟成させる。完成まで半年から1年かかるんです」と明かす。

 原料はすべて国産にこだわっている。米と大豆は県内産で、大豆はうまみがしっかりと感じられる「タチナガハ」と呼ばれる品種を使用。米麴のみで作られる「仙台味噌」も製造するが、看板商品の「長寿味噌」は、米麴と大豆麴を合わせた調合みそだ。2種類の麴を混ぜ合わせることでうまみがぐっと増し、「だしを取らずにみそ汁を作る人もいるほど」だという。

 同社は1902年創業の「高砂長寿味噌本舗」が前身。伝統技術を受け継ぎながら、2019年の全国醤油品評会で最高賞を受賞した「長寿醤油」や、牛タン店向けに開発したタレなど幅広い商品を扱う。加熱処理がされていない「生みそ」など、工場横の売店限定で販売する商品もあり、後藤工場長は「攻めの姿勢を忘れず、選び続けてもらえる商品を開発していきたい。地元の人には売店に足を運んでもらい、遠方の人にはぜひ通販で楽しんでもらいたい」と話した。

毎日新聞

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