金融不安沈静化に一枚岩 米大手11行が地銀支援で4兆円預金

2023/03/17 15:15 

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 バンク・オブ・アメリカなど米大手銀行11行が、経営不安が高まっていた全米14位のファースト・リパブリック銀行(本店・カリフォルニア州)への異例の支援に乗り出した。中堅行の信用不安が米国の金融システム全体に波及する事態を阻止するためだ。大手行が一枚岩になって金融業界を支える姿勢を示すことで、市場や顧客の間でくすぶる金融不安を沈静化させる狙いがある。

 「当行の(現金などの)流動性を強化し、当行と米国の銀行システム全体への信頼を支持するものだ」。ファースト銀のマイク・ロフラー最高経営責任者(CEO)は16日の声明で、大手11行が決めた総額300億ドル(約4兆円)を同行に預け入れる支援策の意義を強調した。

 ファースト銀は15日時点で約340億ドルの現金を保有。12日には米連邦準備制度理事会(FRB)の資金繰り支援策などを活用し、700億ドル以上の現金支払い能力を確保したと発表していた。今回の支援で資金力がさらに強化される。

 米格付け大手によると、同行の総預金は昨年末時点で1764億ドル。このうち預金保険制度で保護される上限(25万ドル)を超える預金は全体の7割近い約1200億ドルにのぼっていた。

 米国では、10日に全米16位のシリコンバレー銀行(SVB)、12日にはニューヨーク州に拠点を置くシグネチャー銀行が相次いで経営破綻。銀行の経営不安が高まり、中小規模の銀行から預金を引き出す動きが広がった。ファースト銀からも預金流出が進み、3月上旬に120ドル前後で推移していた株価は13日に一時20ドルを下回る水準まで暴落していた。

 ファースト銀の総資産は約2000億ドルで、米大手4行(1・7兆~3・2兆ドル)に比べてはるかに小さい。だが、SVB、シグネチャー銀に続く銀行破綻を許せば、預金者が預金引き出しに殺到する「取り付け騒ぎ」に発展する恐れもある。15日にはスイスの金融大手クレディ・スイスの信用不安が再燃するなど金融システムが揺らぐ中、米当局と金融業界は早急な対応を迫られていた。

 バイデン政権は12日、金融システムに対する懸念を払拭(ふっしょく)するため、SVBとシグネチャー銀の預金を全額保護する特別措置を打ち出したものの、巨額の利益をあげる金融業界に対する公的支援には世論の批判も根強く、「さらに踏み込んだ支援は政治的に難しい」(米シンクタンク)との見方が出ていた。大手11行がファースト銀支援に動いた背景には、政府に代わって民間大手が支援を肩代わりした事情もあるとみられる。【ワシントン大久保渉】

毎日新聞

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