堺市の食品メーカー「タマノイ酢」が１８９３（明治２６）年のシカゴ万博で出展した純米酢を復刻し、２０２５年大阪・関西万博の会場で販売する。

　調査を重ねて、当時の製造手法や味わいをできる限り再現した。広報担当者は「お酢の会社として原点回帰とも言える挑戦。万博を機にお酢の新たな魅力を知ってほしい」と話す。

　シカゴ万博には、タマノイ酢のルーツとなる、大阪で酢を製造していた五つの蔵で出展した。１９０７年のタマノイ酢創業後も、万博には５８年のベルギー・ブリュッセル万博や７０年大阪万博などに出展してきた。

　５５年ぶりに大阪で万博が開催されることを機に、過去に出展した酢の復刻を決め、資料などで製造方法を調査した。

　一般的な酢は数日間で製造するが、今回は１カ月～１カ月半かけてつくる「静置発酵法」とよばれる製法を採用した。

　当時使用されていたのと同じ酵母を再現し、加熱処理を行わないなどの製法も使用したことで、酸味が少ない、まろやかな味わいになっているという。名前は、シカゴ万博出展時に受賞した賞の名前から「名誉金牌」とした。

　「名誉金牌」は大阪外食産業協会（ＯＲＡ）が出展する外食パビリオンの１階で４月１３日～５月１２日に限定販売する。１８５ミリリットルの瓶入りで価格は税込み５３８円。

　万博会場での反応を見て、全国販売するかどうかを検討するという。また、外食パビリオンで販売される和牛肉のすしのシャリにも「名誉金牌」を使用する予定。【妹尾直道】