「強い経済」実現へ 2026年度予算の基本編成方針を閣議決定
政府は9日、2026年度予算編成の基本方針を閣議決定した。「責任ある積極財政」を経済財政運営のあるべき姿と位置付け、高市早苗政権が掲げる「強い経済」の実現へ必要な予算・税制上の措置などを確実に講じるとしている。巨額の補正予算編成を繰り返す近年の歳出構造からの「平時化」を目指す姿勢も盛り込んだが、財政拡張路線の高市政権でどこまで実現するかは見通せない。
基本方針では、「成長率の範囲内に債務の伸びを抑制し、政府債務残高対GDP(国内総生産)比を引き下げていく」ことで財政の持続可能性を実現し、市場の信認を確保するとともに、「『強い経済』の実現と財政健全化を両立させていく」とした。ただし、財政健全化の指標となる国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の25~26年度の黒字化目標には言及しなかった。
政策効果の乏しい支出や税制は見直す方針も記したが、物価や人件費は高騰しており、長期金利も足元で2%に迫って国債の利払い費がかさむ。そのうえ積極財政を掲げる高市政権下で初めて編成される26年度予算の規模は「膨らむ方向」(財務省関係者)だ。
一方、10兆円を超える規模の補正予算が常態化している近年の状況を踏まえ「歳出構造の平時化に配意」するとも明記した。必要な経費は当初予算に計上し、補正予算は縮減させる。数年かけて段階的に実施し、26年度予算案から一部を反映する見通しだ。
ただ、ある財務省幹部は、臨時国会で審議中の補正予算案が21・3兆円にも膨らんだことを念頭に「大規模な補正を編成した直後に当初も膨らませれば、市場の信認を得られない」と強調。補正予算の縮減が担保されないまま26年度当初予算を拡大させることは「検討していない」と否定した。
高市氏は11月27日の経済財政諮問会議で「必要な予算を当初予算でちゃんと積むことは、とても必要だ」と発言した。歳出構造の現状を問題視しているようにも映るが、今回の巨額の補正予算を主導したのは首相自身でもある。本格的な見直しが始まるのは27年度以降だが、補正の減額が進まなければ当初が膨らみ、予算の総額がさらに拡大しかねない。【加藤結花】
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