是枝裕和監督、映画『箱の中の羊』主演の千鳥・大悟を絶賛「自由に動いてもらうととても面白い」

2025/11/02 13:41 

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(左から)クロエ・ジャオ監督、是枝裕和監督 (C)ORICON NewS inc.

 映画監督の是枝裕和氏が2日、「第38回東京国際映画祭」(会場:LEXUS MEETS 日比谷)のトークショーに登壇。映画監督のクロエ・ジャオ氏との対談の中で、現在撮影中の最新作『箱の中の羊』(2026年公開予定)について語り、主演を務めるお笑いコンビ・千鳥の大悟の芝居について「自由に動いてもらうととても面白い」と絶賛した。

【写真】千鳥・大悟、綾瀬はるかと“初”共演で夫婦役

 本作は、大悟が映画初主演を務め、俳優の綾瀬はるかが夫婦役で初共演することで注目を集めている。“少し先の未来”を舞台に、ヒューマノイドを息子として迎え入れることになった夫婦の物語が描かれる。

 原案・脚本・編集も手がける是枝監督は、自身の撮影スタイルについて「撮影前に一応、ストーリーボードというか、“このセットにこう人がいて、こんなシーンを撮りますよ”という構成を作ります。ただ、現場に入って“とりあえずやってみましょうか”と始めてみると、撮影監督はたいてい、僕の想定していたカメラ位置とは違うところに構えていて、“こっちの方がいいね”となることが多い。“それなら役者の動かし方をこう変えましょう”というように、現場で柔軟に進めていくことが多いですね」と説明した。

 さらに、「コンテどおりにこなしていくだけでは現場で発展が生まれず、スケジュールを消化するだけで終わってしまう。だから、現場で動きが変われば、せりふも自然と変わる。僕自身、現場ではあまり台本を手にしていません。せりふも、その場で変わっていくことが多いんです」と、現場での柔軟な演出方針を明かした。

 これに対し、ジャオ監督は少し驚いた様子を見せ、直前の変更を嫌がる俳優もいることを踏まえて「俳優との関係性はどうなのか」と質問。

 是枝監督は「いい関係ですよ」と笑みを浮かべ、「現場で変わっていくものにどう対応してくれるか、それを楽しんでくれる俳優さんと一緒にやりたいと思っています」と語った。「今回で言うと、主演のひとりは芸人さんなんですが、芝居の経験は少なくても“お笑いの構成”に近いところがあるらしく、ポイントだけ決めて“あとは自由にどうぞ”と伝えると、とても面白く動いてくれる」と、大悟の柔軟な芝居を高く評価した。

 続けて「僕自身は決まったやり方があるわけではなく、俳優さんごとにどんな接し方が合うのかを現場で探し、言葉のかけ方を見つけていくようにしています」と語った。

 これを受け、ジャオ監督は「その柔軟さは、ドキュメンタリーを撮っていた経験が生きているのでは」と指摘。是枝監督もうなずきながら、「たぶんその経験は、“現場で発見していく”ということに生きていると思います。目の前で起きていることをどうキャッチして、それを作品に生かすか。目の前で起きていることに敏感になる、という点では鍛えられました」と話していた。
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