【ライブレポート】トラヴィス・スコットがYe(カニエ・ウェスト)を迎えた“奇跡の夜” 『C…

2025/11/12 22:30 

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【ライブレポート】トラヴィス・スコットがYe(カニエ・ウェスト)を迎えた“奇跡の夜” 写真:Jason Martinez

 米ラッパーのトラヴィス・スコットが8日、埼玉・ベルーナドームにて初の日本スタジアム単独公演を開催した。世界を席巻する『Circus Maximus Tour』の一環として行われたこのステージは、期待を遥かに超える“現象”とも呼ぶべき一夜となった。

【ライブ写真】かっこいい…!炎をバックに佇むトラヴィス・スコット

 トラヴィスの来日公演は2013年、東京・渋谷VISIONでの600人規模のギグ以来。12年の時を経て、約3万人を動員したベルーナドーム公演のチケットはほぼ完売。ヒップホップカルチャーの軌跡を感じさせるスケールアップに、観客の期待も膨らむなか、午後7時30分ごろ、火花と歓声に包まれてついにショーが幕を開けた。

 オープニングは「HYAENA」。トラヴィスの圧倒的なカリスマ性がスタジアムを包み込む。「THANK GOD」では愛娘のストーミも登場し、早くもサプライズ演出が飛び出す。「MODERN JAM」以降はパーティー色が濃くなり、DJチェイス・Bのスクラッチがステージを一段とヒートアップさせる。MCでは「このツアーで一番楽しみにしていたのが東京」と語り、笑顔で観客との濃密なコンタクトを重ねた。

 モッシュピットをあおり、客席にカメラを向け、ファンをステージに招き入れてハグする──その一体感は、まさにトラヴィスが築いてきた“体験型ライブ”の真骨頂。プレイボーイ・カーティ「BACKR00MS」、メトロ・ブーミン&フューチャー「Type Shit」、ジャックボーイズ名義の「CHAMPAIN & VACAY」、初期の楽曲「Upper Echelon」などを次々と披露しながら、観客を熱狂の渦へと引き込んでいった。

 そして、場内の照明が落ち、「PRAISE GOD」が流れ出す。途中で演奏が止まり、静寂に包まれる会場。次に響いたのは、Ye(カニエ・ウェスト)の「Runaway」のイントロだった。SNS上で“来日説”が噂されていたが、まさかの本人登場。「Can’t Tell Me Nothing」「Heartless」「Stronger」「Father Stretch My Hands Pt.1」などを立て続けに披露し、観客を完全にロックオン。盟友であるトラヴィスとの共演は、現在のカニエを巡る複雑な状況も含め、多くの意味を持つサプライズとなった。

 「CARNIVAL」「All of The Lights」と続いた“カニエタイム”を経て、ステージは再び『UTOPIA』の世界へ。「TOPIA TWINS」「NO BYSTANDERS」、そしてハイライトの「FE!N」は4回もくり返され、イントロがかかるたびにスタジアム全体が爆発的な盛り上がりを見せた。終盤には「Sicko Mode」「Antidote」「goosebumps」などのキラーチューンを連発し、10年にわたるキャリアの重みと進化を余すことなく提示した。

 ラストはフューチャーとSZAが参加した「Telekinesis」。荘厳なムードのなか、2年以上におよんだツアーが終盤に差し掛かることを感じさせる空気が会場を包み込んだ。

 インターネットのミックステープからスタートしたトラヴィスが、いまや世界最大級のスタジアムを揺るがす存在となったこと。そして、あのカニエと共に日本のステージに立ったこと。熱狂と衝撃、喜びと畏敬、あらゆる感情が交錯する奇跡の夜だった。
ORICON NEWS

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