トランプ政権、ウクライナ疑惑で弾劾審査への協力拒否

2019/10/09 10:58 

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 トランプ米大統領が政敵のバイデン前副大統領親子を捜査するようウクライナ政府に要求した疑惑で、ホワイトハウスは8日、下院多数派の野党・民主党が主導する弾劾訴追に向けた手続きは「憲法に違反している」とし、今後は弾劾審査に協力しない方針を明確にした。証拠や証人に関する下院の要求には一切応じない考えだ。

 これに対し、ペロシ下院議長は8日、「ホワイトハウスが妨害しようとしても、大統領権限を乱用した証拠はどんどん集まっている」として、弾劾審査をさらに進めることを強調。トランプ政権と民主党は全面対決に突入することになった。

 トランプ氏は当初、弾劾審査に「協力する」と語った。しかし、情報機関から複数の内部告発者が名乗りを上げたことや、開示された資料にウクライナへの圧力を裏付ける材料があり、民主党が勢いづいたことを受け、審査への協力は得策ではないと判断した模様だ。また、民主党による審査自体を「憲法違反」と宣言することで、共和党から造反者が出るのを防ぐ狙いもあったとみられる。

 ホワイトハウスは8日、シポローネ大統領法律顧問の名前でペロシ氏と下院のシフ情報委員長ら民主党幹部4人に宛てた8ページの書簡を送付。下院の弾劾審査で、大統領側が証人に質問する機会や、証言記録の提供を受ける権利を拒否されたと批判。審査は「憲法で保障されている適切な法手続きで実施されていない」と訴えた。

 また、過去の弾劾訴追の手続きが下院での議決で始まったのに対し、今回はペロシ氏が記者会見で開始を宣言。この点についても「手続きの適切性を欠いている」と指摘した。

 さらに、弾劾審査は「2016年の大統領選の結果を覆し、20年大統領選を有利にするための民主党の戦略だ」とし、政治的な目的で行われていると主張している。

 これに先立ち、下院情報委の公聴会で証言を求められていたソンドランド駐欧州連合(EU)大使は出席を拒否。国務省の指示だった。ソンドランド氏は、16年大統領選でトランプ氏を資金面で支援した政治任用の大使。ウクライナにバイデン氏を捜査するよう求めた経緯に深く関わった人物とみられている。

 トランプ氏はツイッターで「証言させたかったが、共和党の権利が剥奪されたいかさま裁判で証言することになってしまう」と証言阻止を正当化した。

 一方のペロシ氏は8日の声明で、ホワイトハウスからの書簡について「トランプ政権が外国勢力を米国の選挙に介入させようとした事実を覆い隠すための違法な試み」と批判した。【ワシントン古本陽荘】

毎日新聞

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