二転三転のバイデン政権 難民受け入れ4倍増掲げつつ「達成できない」

2021/05/04 11:50 

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 バイデン米大統領の難民受け入れ政策が混迷を深めている。トランプ前政権が設定した過去最低レベルの難民受け入れ枠を巡って、拡大から現状維持へと方針転換して批判を浴びると、3日には再び「拡大する」と表明したが、実際の受け入れ人数は「枠には届かない」とも説明。実態が伴わない拡大にとどまる可能性があり、与党・民主党左派などからの「公約違反」との批判が収まるかどうか不透明だ。

 バイデン大統領は3日に声明を発表し、2021会計年度(20年10月~21年9月)の難民受け入れ枠を現状の約4倍増の「6万2500人」とする方針を発表した。「世界中で苦しんできた難民たちの(米国の政策への)疑問を拭い去るため、今日の発表が大切なのだ」と訴え、地域別では▽アフリカ2万2000人▽中東・南アジア1万3000人▽東アジア6000人▽中南米5000人などと定めた。

 ところが、同じ声明では「悲しいことに6万2500人の受け入れは達成できないのが現実だ」と弱音を吐露し、枠の設定が実態に合わないことを事実上認めた。

 1月の政権発足後、年間受け入れ枠を巡る方針転換は3度目だ。バイデン政権は2月に前政権が設定した1万5000人から6万2500人に増やす方針を一度は議会に伝えたが、4月には予算や人員の制約を理由に1万5000人に戻した。民主党左派や難民支援団体からの批判を受け、3日に再び方針転換したが、21会計年度上半期の受け入れは2050人にとどまっており、9月までに劇的に受け入れが進む見通しは立っていない。

 受け入れが進まない要因として、バイデン氏は予算の制約を含めて「過去4年間のダメージ」を挙げ、前政権に批判の矛先を向ける。しかし、バイデン氏が打ち出した寛容な移民・難民政策が、メキシコ国境での不法越境者の増加につながり、難民担当部局が対応に追われるなど「計算違い」も起きている。

 バイデン氏は3日の声明で「22会計年度に12万5000人受け入れる」と大目標を掲げながらも「達成できるかは依然難しい状況だ」と予防線を張った。難民受け入れが進展しなければ、民主党左派から非難されるだけでなく、対応の混乱は共和党にも批判の材料を与えかねない。米NBCニュースの世論調査でも、政策課題別の支持率で「国境の治安と移民」への支持が33%と最も低く、政権は神経をとがらせている。【ワシントン秋山信一】

毎日新聞

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