米とウクライナが28日に署名へ 鉱物資源の共同開発巡る合意文書
トランプ米大統領は26日、ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領が28日に訪米し、ウクライナの鉱物資源の共同開発を巡る合意文書に署名すると明らかにした。一方、ウクライナ側が求めている戦争終結後の安全の保証については「それほど多くを確約するつもりはない」と述べ、欧州が担うべきだとの考えを改めて示した。
第2次トランプ政権の発足以降、両氏が対面で会談するのは初めて。トランプ氏はゼレンスキー氏を「独裁者」と呼ぶなど関係が悪化している。ゼレンスキー氏は溝を埋めることを優先して合意を受け入れたとみられ、両氏の関係が改善に向かうか注目される。
欧米メディアによると、合意案では両国が共同で基金を設立。ウクライナで開発されるレアアース(希土類)や石油、天然ガスを含む鉱物資源の収益の50%を拠出する。米側が5000億ドル(約75兆円)の収益に関する当初の要求を取り下げたことで、ウクライナ側が合意に署名する準備が整ったという。
一方、安全の保証については、米側の具体的な対応の記載はない。ただ、米国がウクライナの安保の確保に向けた取り組みを支持するという趣旨の文言は盛り込まれるという。
トランプ氏はこれまで、根拠を示さずに米国がウクライナへの支援に3500億ドルを費やしたと主張してきた。米シンクタンク「外交問題評議会」によると、2022年2月から24年9月までに米国が決めた支援額は計1750億ドルだった。
トランプ氏は26日にホワイトハウスで記者団に、合意について「我々は(バイデン)前政権により悪い立場に追い込まれたが、金を取り戻し、将来的に多くの金を得られる」と誇った。
またウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟については「忘れた方がいい」と従来通り否定的な見解を示した。一方で欧州による平和維持部隊の派遣をロシア側が受け入れない姿勢を示していることについて記者団から問われ、「そうは聞いていない。平和維持は必要だろう」と指摘。戦争終結に向け、プーチン氏が妥協する必要性にも言及した。【ワシントン松井聡】
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