シリア、暫定憲法を制定 イスラム法を基礎に表現の自由など保障

2025/03/14 04:42 

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 シリア暫定政権のシャラア大統領は13日、イスラム法を基礎としつつ、表現の自由や女性の教育と就労の権利などを保障する暫定憲法に署名した。国営シリア・アラブ通信などが伝えた。暫定統治の期間を5年とすることも定められた。暫定政権は期間内に恒久的な憲法の制定を目指す。

 暫定憲法は、2月下旬に各民族などの代表が集まって開催された「国民対話会議」でも制定を求められていた。報道によると、アサド前政権下で制定された旧憲法と同様、国家元首はイスラム教徒とし、イスラム法を「主要な法源」とする一方、大統領の罷免や権限の制限などについては議会が決定権を持つとされた。シャラア氏は署名の際、「これが国家建設や発展に向けた道のりの素晴らしい始まりとなることを期待している」と語った。

 暫定政権は少数派も含めた新政府の樹立を目指す方針を示しており、10日には北東部を支配するクルド人勢力を国家機関に統合することも決まった。ただ、北西部では今月、前政権を支持する武装集団との衝突を機に治安が悪化し、アサド前大統領と同じイスラム教少数派のアラウィ派に対する虐殺も起きた。

 ロイター通信などによると、アラウィ派の住民少なくとも数百人が隣国レバノンに逃れたほか、ロシア軍が駐留する北西部ラタキアの空軍基地に約9000人が避難している。暫定政権がアラウィ派への人権侵害を抑えられなければ、国際社会からの非難が高まる可能性もある。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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