パグウォッシュ会議が広島で開幕 核軍縮への道筋議論
核兵器廃絶を目指す科学者らの国際組織「パグウォッシュ会議」の世界大会が1日、広島市で開幕した。5日間の日程で、約40カ国・地域から自然科学や社会科学の学者ら約300人が参加。初日のセッションにはパグウォッシュ会議や日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)など核廃絶の分野でノーベル平和賞を受賞した4団体の代表らが登壇し、核兵器による威嚇がやまない世界情勢への危機感と、核廃絶の実現に向けた科学者の責任について発言が相次いだ。
63回目となる今大会のテーマは「被爆から80年―今こそ平和、対話と核軍縮を」。核軍縮への道筋や緊迫する中東情勢などについて議論し、最終日に世界へのメッセージ「広島宣言」を発表する。日本での開催は1995年と2005年の広島、15年の長崎に続いて4度目。
開会式に続くセッションでは、フセイン・シャハリスタニ会長(83)や8歳の時に広島で被爆した小倉桂子さん(88)らの対話があった。小倉さんは「原爆投下から10年以上過ぎてから、傷もない人々が放射能の影響で亡くなった」と体験を語り、「同じ過ちを繰り返してはならないと伝え続けたい」と話した。
真剣な表情で聞いたシャハリスタニ会長は、世界の科学者が核戦争による人類絶滅の恐れに警鐘を鳴らし、パグウォッシュ会議結成のきっかけになった「ラッセル・アインシュタイン宣言」(55年)の中から「人間性を心にとどめよ」の文言を紹介。「宣言の精神は、被爆者一人一人の証言の中にも共通して生きている」と語った。
さらに「科学は破壊のための道具であってはならない」と強調し、核不拡散体制の弱体化に懸念を示して「平和は相互破壊や抑止のロジックの上には築けない。核兵器の破壊力を恐れるだけでなく、確実になくすことが急務だ」と訴えた。
ノーベル平和賞受賞団体の日本被団協▽核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)▽核戦争防止国際医師会議(IPPNW)――の3団体との討議では、日本被団協の田中熙巳(てるみ)代表委員(93)が昨年の受賞を振り返り、「被爆者たちの絶え間ない証言活動が核兵器禁止条約成立(17年)の土台になった。被爆者だけでなく、後を継いで核廃絶に取り組む若者に対する激励だったと考えている」などと話した。
パグウォッシュ会議(95年受賞)の役員に今年、日本人として初めて就任した鈴木達治郎・前長崎大核兵器廃絶研究センター長(74)は「戦争そのものをなくすことが必要で、パグウォッシュ会議の精神は日本国憲法9条と結びついている。核兵器と戦争の廃絶を世界に訴えたい」と語った。
IPPNW(85年受賞)のルース・ミッチェル博士は「人工知能(AI)など新しい技術が戦争の可能性を高める」と懸念を示し、ICAN(17年受賞)の共同創設者、ティルマン・ラフ博士は「(母国の)オーストラリアや日本など『核の傘』の下にある国が、核禁条約に積極的に参加することが重要だ」と述べた。【武市智菜実、井村陸、宇城昇】
-
英列車内の刺傷事件「最初はハロウィーンのジョークかと」 2人重体
英国南東部を走行中の列車内で1日、乗客が次々と刃物で刺され、11人が病院で治療を受けた。英鉄道警察によると、そのうち2人が重体。警察はいずれも英国籍で30代の…国 際 3時間前 毎日新聞
-
「我々はカルト宗教ではない」 旧統一教会信者ら1000人が集会
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が2日、ソウル中心部で大規模な集会を開き、「我々はカルト宗教ではない」などと訴えた。 専門家によると、市街地で旧統一教会が…国 際 4時間前 毎日新聞
-
トランプ氏も連覇のドジャースを祝福 「ホワイトハウスで会おう」
米大リーグのワールドシリーズでドジャースが連覇を達成したことを受け、トランプ米大統領は2日、自身のソーシャルメディアに「素晴らしいチャンピオンだ」と投稿した。…国 際 5時間前 毎日新聞
-
中国、高市首相の台湾側との会談に抗議 「SNSで大げさに宣伝」
中国外務省は1日、高市早苗首相が同日、訪問先の韓国南東部・慶州でアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に台湾代表として出席した林信義・元行政院副院長(副…国 際 8時間前 毎日新聞
-
「停戦守って」 京都市の「ガザ虐殺反対」デモ、実施100回目
2023年10月に始まったイスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区攻撃に対し、「ジェノサイド(大量殺戮(さつりく))をやめろ」と京都市の繁華街で訴えるデモが1…国 際 10時間前 毎日新聞













