香港立法会選挙 「愛国者」のみ出馬、親中派独占で火災争点にならず

2025/12/08 08:46 

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 香港の立法会(議会、定数90)の選挙が7日に行われた。立候補には「愛国者」であることが必要で、前回2021年に続いて民主派は事実上排除され、候補者は全員親中派だった。

 11月26日に発生した高層住宅群の火災を巡って当局の監督責任を問う声が上がっているが、政府を支持する親中派候補同士の戦いで、争点になりようもなかった。

 投票率は31・9%で過去最低だった前回(30・2%)を1・7ポイント上回った。候補者ごとの公約の違いが小さく、政府への信任度を示す形の投票率が注目されていた。当局は全公務員に投票するよう強く求めたほか、投票時間を2時間延長するなど投票率アップに躍起となった。

 だが選挙期間中に発生し、159人が犠牲になった火災で社会には追悼ムードが広がり、選挙に対する関心がさらに低下することが予想された。

 当局は「被災者支援には新しい議員が必要だ」(香港政府トップの李家超行政長官)として、予定通り選挙を実施。火災の原因究明を求めた複数の市民を扇動容疑で拘束して批判を抑え込み、選挙ボイコットや無効票投票を呼びかけたとして7日までに10人以上を選挙条例違反容疑などで拘束して厳しく取り締まった。

 選挙には161人が出馬。一般の有権者が投票できる直接選挙枠(20議席)には51人が立候補した。残りの70議席は業界団体や選挙委員会に割り当てられている。前回は中間派政党が1人を当選させたが、今回は候補擁立を断念した。【台北・林哲平】

毎日新聞

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