トランプ氏、エヌビディア製先端半導体の対中輸出を許可へ 方針転換
トランプ米大統領は8日、米半導体大手エヌビディアの先端半導体「H200」の対中輸出を許可する方針を明らかにした。これまで米国は中国への先端半導体の販売を厳しく規制してきたが、大きな方針転換となる。トランプ氏は10月の米中首脳合意で貿易措置の対立解消を図るなど米中関係の安定を重視しており、対中配慮の姿勢が顕著となっている。
トランプ氏は自身のソーシャルメディアで、中国の習近平国家主席に先端半導体の許可方針を伝えたと投稿し、「習氏は前向きな反応を示した」と記した。
米政府は2022年、先端半導体の対中輸出を規制する枠組みを新たに導入。大量破壊兵器の開発など軍事利用防止を理由に、中国のハイテク企業などに販売する際は米政府の許可が必要となった。
エヌビディアは現在、米政府の許可を得るために性能を大幅に落とした「H20」を中国に販売している。トランプ氏は投稿で「バイデン政権は誰も欲しがらない製品の開発に数十億ドルを費やすように強要した。イノベーションを阻害し、米国の労働者を傷つける愚策だった」と批判。雇用創出と人工知能(AI)分野での米国の優位性維持につながるとして、輸出許可を正当化した。
H200はエヌビディアの主力製品であるAI向け半導体「ブラックウェル」より1世代前のシリーズだが、現行のH20と比べると高速なデータ処理ができる。輸出が許可されれば、巨大市場である中国での商機拡大につながる。
トランプ氏はより高性能なブラックウェルなどの製品は輸出許可の対象外とした。米アドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)やインテルなどの米企業に対しても、エヌビディアと同様に部分的に対中輸出規制を緩和するという。
貿易を巡る中国への大幅な譲歩といえ、今後は米議会や政権内の対中強硬派の反発を招きそうだ。【ワシントン浅川大樹】
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