医薬品「緊急承認制度」を新設へ 早期実用化が可能に 改正法成立

2022/05/13 13:44 

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 感染症の世界的大流行の際などに、医薬品の迅速な実用化を可能とする「緊急承認制度」の創設を柱とした改正医薬品医療機器法(薬機法)が13日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。政府は近く政令を改正し、新型コロナウイルス感染症の医薬品を緊急承認制度の対象に指定する。開発中の国産の治療薬やワクチンへの適用の可否が今後の焦点となる。

 緊急承認制度は、安全性は従来通り確認するが、有効性については治験の途中段階でのデータから「推定」できれば承認を可能とする。これまでは原則として大規模治験で有効性を確認後に承認してきたが、新たな制度では治験完了前の早期実用化が可能となる。

 従来は、海外で使用実績がある医薬品については「特例承認」で審査を簡略化してきたが、日本人を対象とした国内治験を追加で求めたため、新型コロナワクチンの実用化が欧米より遅れた。新制度では、国内治験が未実施でも海外データから有効性を「推定」し、実用化できるようになる。

 新制度の適用は、感染症の流行のほか、原発事故やテロなど国民の生命に重大な影響を与える緊急時や、他に代替手段がない場合に限る。最長2年の期限内に有効性の確認を求め、確認できない場合は承認を取り消す。健康被害が起きた場合は、通常の承認薬と同様、医薬品副作用被害救済制度の対象とし、医療費や障害年金が支払われる。

 新型コロナへの対応では、海外製ワクチンの実用化の遅れや、国産医薬品を対象とする緊急時の薬事制度の不備などが問題となった。足元では塩野義製薬が軽症者向け治療薬の薬事承認を申請しており、新制度創設による審査への影響が注視される。【矢澤秀範】

毎日新聞

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