日独政府間協議を初開催 サプライチェーン強化で一致

2023/03/18 20:52 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 日本とドイツは18日、岸田文雄首相や訪日中のドイツのショルツ首相ら両政府の主要閣僚による「日独政府間協議」を首相官邸で初めて開催した。経済安全保障分野での連携を主要テーマに協議し、サプライチェーン(供給網)構築のために半導体や鉱物資源などの戦略的部門での協力を強化することで一致した。5月に広島で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)に向けた協力も確認した。

 政府間協議は、ドイツが戦略的に重視する国と実施してきた対話枠組みで、これまでにフランスや中国、インドなどと開催。日本との開催は昨年の日独首脳会談で合意していた。協議には両首脳に加え、両国それぞれの主要6閣僚も出席し、日本側からは林芳正外相や鈴木俊一財務相、高市早苗経済安全保障担当相らが参加した。

 首相は協議冒頭、政府間協議について「緊密な日独関係を新たな高みに引き上げるものだ」と評価。ショルツ首相は「引き続き両国の戦略的な協力を続けたい」と応じた。

 ドイツでは、ロシアのウクライナ侵攻で国際秩序が揺らぐ中、経済的な結び付きが強かったロシアや中国との関係を見直す動きが強まっている。協議では中国を念頭に、経済的威圧や不正な技術獲得などに対抗するために協力することで合意。不透明、不公正な開発金融への懸念を共有し、債務枠組みの改善に協力する方針も確認した。広島サミットに向けて昨年のG7議長国を務めたドイツと連携を深めることも確認した。

 両首脳はこれに先立ち、首相公邸で首脳会談を開催した。岸田首相は「日本とドイツはかつてないほど強固な関係にある」と指摘し、外務・防衛閣僚会合(2プラス2)の開催など両国の安保分野での協力進展を歓迎した。両首脳は「自由で開かれたインド太平洋」実現に向けた具体的な協力強化でも一致した。

 両国はまた、ロシアのウクライナ侵攻について、厳しい対露制裁と強力なウクライナ支援を継続することの重要性を確認した。ロシアによる核の威嚇は受け入れられず、使用もあってはならないとの認識を共有した。岸田首相は首脳会談後の共同記者会見で、国際刑事裁判所(ICC)がロシアのプーチン大統領に逮捕状を発行したことについて「捜査の進展を重大な関心を持って、引き続き注視していきたい」。ショルツ首相は「非常に大きな意味を持つ。サポートするつもりだ」と述べた。【今野悠貴、日下部元美】

毎日新聞

政治

政治一覧>