世代交代へ“必死の後継者探し” 「定員割れ」も浮上の町議会
近年、地方議員選で顕著になっているのが「なり手不足」の問題だ。4月の統一地方選を前に頭を抱えている議会も少なくない。北海道新十津川町議会もその一つ。「地方自治の一翼」を守ろうと、必死の後継者探しが繰り広げられていた。【谷口拓未】
「会議を何度もやっている。それだけみんなが町政に真剣ということ。無駄なことじゃない」。新十津川町の安中経人町議(73)は3月上旬の会合で、支援者らに呼びかけた。3回当選の「多選」を理由に今季限りでの引退を決めた安中町議。その後継者を決める会合は7回目の今回も結論はまとまらなかった。定数11の町議選の告示は4月18日。1カ月と少し先まで迫っている。安中町議は「慌てている」と心境を明かした。
農業を基幹産業とする新十津川町は、人口約6400人で高齢化率は40%超(2020年国勢調査)。住民同士の結びつきが強く、慣例的に地域や産業別で町議候補を擁立することもあるという。安中町議も安定した地域住民の支援を受けてきた。
候補者探しは町全体の課題だ。前回選(19年)はかろうじて定数と同数の11人が立候補し、無投票となった。その後、1人が在職中に死亡。今回の町議選に向けて報道各社が2月までに現職10人に出馬の意向を確認したところ、半数以上が引退を決めたり検討したりしていることが明らかになった。平均年齢は67歳。加齢が理由の一つだった。
候補者が定数に満たない「定員割れ」の可能性も浮上している新十津川町議会。候補者が集まらない理由について、安中町議は「議員や議会の仕事ぶりや重要性、やりがいが理解されず、手が挙がらないというのはある」とみる。町議会の衰退につながるとして「地方自治が住民と乖離(かいり)し、行政の監視機能も失われる。まちづくりの主体は住民だが、根幹が揺らぐ」と危惧する。
別の町議はさらに付け加えた。「『本業』をなげうって専従できるほどの報酬がもらえない。ということは、農業や自営業と両立しないといけない。それは本当にしんどいし、難しい」
町議は議会だけでなく、地域の集会や行事への参加などで多忙を極めるという。「『二足のわらじ』ならヘトヘトさ。若い人に『やってくれ』とも言えない。できるのは定年退職した人じゃないの」とこぼした。
なり手不足を踏まえ、町は条例を改正し、19年から議員報酬を2万6000円増額して月21万5000円とした。しかし、解決の糸口は依然として見つからないままだ。
安中町議は「新しいリーダーが必要なのに、立候補者が定数に届いて『そろった』と喜ぶなんて不幸な話だ。『地域のために』という思いのある若い人が立ってくれるのが理想だが……」と遠くを見つめる。「続投」を求める声も上がっているが、将来を見据えて受諾するつもりはないという。
告示が刻一刻と近づく中、町内で「立候補者が定数に届くのでは……」という希望的観測も出てはいるが、先行きは不透明だ。
◇
前回19年統一選で道内100町村議選のうち32町村議選は無投票だった。
共同通信が22年11月~23年1月に全ての都道府県と市区町村(計1788)の議長を対象にアンケート(回答率99・7%)したところ、63%が議員のなり手不足を感じていると答えた。
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