散乱するランドセルも…旧門脇小 校舎内部、最後の公開 宮城・石巻 

2019/10/09 20:33 

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 東日本大震災の遺構として宮城県石巻市が部分保存する旧門脇小について、同市は9日、校舎内部を報道機関に公開した。市は被災直後の痕跡をとどめる校内を立ち入り禁止にし、外側に整備する観察棟などを通じて見学できるようにする計画で、内部公開は最後となる。校舎内部は津波と火災の暴威が刻まれ、散乱するランドセルや児童の作品が「学びやの最後の時」を静かに物語っていた。【百武信幸】

 旧門脇小は津波の到来後、漂着した油に引火して火災が発生。他の震災遺構にはない津波火災の痕跡を残す。当時校内にいた児童らは裏山に避難し無事だった。市は校舎の中央部分のみ保存し両端は解体すると決定。一部住民から全体保存を求める声も上がったが計画は変えず、15日から外面を覆うシートを外し、工事を始める。

 記者は9日午後、校舎内部に入った。光の届きづらい1階は薄暗く、足元に散らばる枝や備品の残骸をよけながら歩く。無造作に転がる小さな靴や、口を開けたままのランドセルに、土ぼこりが重なる。壁には茶色い線が幾筋も残り、一番上に張られたテープに「津波高さ1・8メートル」とあった。職員室は大きな印刷機が入り口をふさぎ、幾度も襲った津波が前後左右に振り回したのがわかる。

 低学年教室のあった2階へ。中央の特別学級教室は、雑然としているが、壁に貼られた年間予定や色紙で作ったチューリップもそのまま。この教室から西側は、笑い声が響く学校風景を思わせるほど原形を残すが、東側は一転して床や天井が焼け焦げ、落差が激しい。避難してきた住民らはいすや机を使って、2階の廊下の窓から裏山に避難したという。

 3階へ上ると、焼け跡の黒さが胸を突く。焦げた天井からむき出しの鉄材やコードがぶら下がり、床にはコンクリートの破片が散らばる。3階は1、2階から上がった火の手で内側から激しく燃えたという。5年生の教室に残る児童の机は木の部分が跡形もなく消え、茶色く変色したパイプしか残っていない。

 3階の窓から、南浜復興祈念公園の工事現場が見えた。市は15日に工事に着手し、2021年度初めにも遺構として公開する予定で、完成した祈念公園からも校舎を望むことになる。

 間もなく校舎両端の取り壊しが始まり、約107メートルの廊下は67メートルほどになるが、市は住民の被災の記憶を集め展示内容を充実させていくという。教訓が色あせぬよう、「沈黙の語り部」に伝承を託すことになる。

毎日新聞

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