唯一の公立幼稚園が閉園 佐賀・伊万里、少子化で45年の歴史に幕

2023/03/19 20:38 

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 佐賀県伊万里市唯一の公立幼稚園である市立黒川(くろがわ)幼稚園で19日、閉園式があり、卒園式を16日に終えた6人を含む全園児9人と保護者、歴代園長ら計約60人が園歌を斉唱して別れを惜しんだ。24日の修了式を経て年度末の31日に45年の歴史に幕を閉じる。

 遊戯室で深浦弘信市長が閉園宣言を読み上げ、園児数の減少から「一定数の集団で学び合う幼稚園教育の目的実現が困難になった」と理由を説明。山口仁美園長は「部屋でも外でも楽しく元気いっぱい過ごすことができました。ここで学んだことは、子供たちが成長する過程で大きく育まれます」とあいさつし、園児代表の田中悠仁(ゆうと)ちゃん(6)と一緒に園旗を松本定(さだむ)・市教委教育長に返還した。園歌斉唱後、園児たちは玄関前で「黒川幼稚園跡」の石碑を除幕した。

 波多津東幼稚園に続く2番目の市立幼稚園として1978年4月、旧東黒川小の教室に園児63人を迎えて開園した。86年3月に現在地に移転・新築。2017年度には同幼稚園と統合して唯一の公立に。卒園児は934人に達した。

 市教委が20年12月に市議会に提出した資料によると、少子化の中でも「安価な保育料が魅力の一つだったが、16年度から算定方法を私立幼稚園とそろえた」結果、17年に56人だった園児数は18年に34人、20年には18人(いずれも5月1日現在)まで減少。20年度の3歳児が卒園する22年度限りで閉園を決めていた。

 園歌で「真っ赤なお屋根」と歌われた園舎はトイレを改修し、隣接する黒川小の放課後児童クラブ施設に転用する。OBで3人の子供を通わせた小旗秀治さん(39)は遊具が残ることも喜び「虫採りとか自然を生かした教育だった。みんな仲良く遊んだ」と感謝していた。【峰下喜之】

毎日新聞

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