「幸せな顔を見たい」 福岡のクリスマスアドベント 仕掛け人の思い
イルミネーションが輝く広場にヒュッテ(木小屋)が立ち並び、流れる音楽を聴きながらホットワインやソーセージなどを楽しむ。そんな福岡の冬の風物詩「クリスマスアドベント」(旧福岡クリスマスマーケット)が今年も福岡市中心部で開かれている。イベントは年々規模を拡大し、12年目の今年は北九州市小倉北区の会場も加わった。行政や大企業主導とも思えるイベントは、ある若者の思いから始まった。仕掛け人に聞いた。
福岡のクリスマスマーケットは2013年、JR博多駅前広場(福岡市博多区)で始まった。企画したのは福岡市中央区のイベント会社社長、佐伯岳大(たかひろ)さん(43)。鞍手町出身で父親が警察官の家庭で育った。九州産業大に在学中、使い切りカメラのリサイクル会社を立ち上げるなど事業の道を歩む中、07年に視察したドイツのクリスマスマーケットに魅了された。
「人々が本当に幸せそうだった。福岡の人々の幸せな顔を見たい」。当時20代半ばの佐伯さんは強い思いに駆られたが、周囲は「寒い夜に人が集まるわけがない」と冷ややかだった。それでもJR九州の社長時代に豪華寝台列車「ななつ星in九州」の運行を始めた唐池恒二さんらに直談判して協力を得ると、ドイツ仕様の木小屋を作り、アーティストを招いたステージを企画して大きな成功に導いた。
にぎわい作りの実績を積むほどに協賛企業は増え、これまでに福岡市中心部の天神、中洲、大名も開催地に加わり、今年は福岡市早良区の百道浜にある福岡タワー前や、北九州市小倉北区の紫川親水広場、船場広場に広がった。佐伯さんは今も総合プロデューサーとしてイベントを運営し、11月28日~12月18日には天神中央公園(福岡市中央区)で無料のサーカスショーを予定するなど新たな試みを続けている。
クリスマス会場に飾る巨大なサンタクロースなどの人形は大量に買い付けるため、オフシーズンに保管する倉庫の確保に苦労する。それでも今は計約150店の規模を、世界一とされるドイツ・シュトゥットガルトのクリスマスマーケットを上回る300店にする目標を掲げ、「幸せがあふれる福岡の街にしたい」と意気込む。
主な会場は12月25日までで、会場によってはイルミネーションを来年1月まで点灯させる。【平川昌範】
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