知床観光船訴訟、会社側は棄却求める 遺族陳述「真摯に受け止めて」
北海道・知床半島沖で2022年4月に起きた観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」の沈没事故で、乗客14人の遺族ら29人が運航会社「知床遊覧船」と桂田精一社長(61)に計約15億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が13日、札幌地裁(小野瀬昭裁判長)で開かれ、乗客家族が「多くの命を奪ったことを真摯(しんし)に受け止めるべきだ」などと意見陳述した。会社側は「過失はなかった」として請求棄却を求めた。
7歳だった息子が行方不明になった男性は意見陳述で、事故直後の記者会見以降、説明を避け続ける桂田社長の姿勢に怒りをにじませ、「苦しみに追い打ちをかけられている」と涙ながらに訴えた。
両親と弟が被害に遭った男性は「粗末な運航管理のために私以外の家族全員が亡くなった。息もできなくなるほど冷たい水に飛び込まされた3人の気持ちを知ってほしい」と声を震わせた。
この日は原告8人が意見陳述。ほかに3人も非公開で陳述した。法廷で桂田社長は終始うつむき、言葉を発しなかった。
最大の争点は、事故当日の出航判断の是非だ。
訴状によると、事故が起きた22年4月23日の気象庁予報は風速15メートル、波高2~2・5メートルで、同社の運航基準の出航中止条件である「風速8メートル以上、波高1メートル以上」を超えていた。原告側は「明らかに出航を中止すべき状況だった」として運航管理者と安全統括管理者を兼ねる桂田社長に重大な過失があると主張する。
一方会社側は、桂田社長が出航前、船長(当時54歳)から海が荒れる場合には引き返す「条件付き運航」にするとの報告を受けたとし、「途中で引き返すか避難港に入港した場合には事故を避けられた」と反論。会社の損害賠償責任は限定的に認めつつ、「社長個人の過失は認められない」と主張した。
事故を巡っては、桂田社長は業務上過失致死罪で起訴され、刑事責任も問われている。【後藤佳怜】
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