工藤会トップ、複数の土地を家族信託 福岡県警「賠償逃れ」指摘
市民が襲撃された4事件で殺人罪などに問われた特定危険指定暴力団「工藤会」(北九州市)のトップで総裁の野村悟被告(78)=1審で死刑、2審で無期懲役、上告中=が信託制度を利用し、北九州市に所有する土地23筆(計7068平方メートル)の所有権を親族に移していたことが毎日新聞の取材で判明した。信託財産は差し押さえなどの対象外で、福岡県警は「事件の遺族や被害者への賠償逃れ」とみており、同様の動きが広がらないように国に予防策となる法改正を求めている。
市民や企業も襲撃する凶暴性を理由に全国で唯一の「特定危険」に指定されている工藤会。野村被告は1998~2014年に北九州市などで市民や元警官らが死傷した4事件で起訴されて公判中だが、一部の事件では遺族らから民事でも訴えられた。既に賠償責任が確定した訴訟では工藤会の本部事務所跡地(北九州市小倉北区)の売却益などが支払いに充てられた。
一方、野村被告は、組員が関与した別の殺人事件や特殊詐欺事件でも被害者側から損害賠償請求訴訟を起こされ、審理が続く。賠償責任が確定しても野村被告側が支払いに応じない場合、被害者側が被告の財産を強制的に売却して現金化する「強制競売」などが必要だが、大半の訴訟では仮差し押さえの手続きも進んでいない状況だ。
そんな中、野村被告が北九州市小倉北区にある土地23筆と自宅を親族2人に信託していたことを毎日新聞は確認した。20年に計2回に分けて手続きされ、当時は先行する訴訟が終結する前後だった。23筆には野村被告の自宅や、経営していた駐車場があり、土地から生じた利益を得る「受益者」は野村被告に設定されていた。
家族信託は、老後などに備えて信頼できる親族らに財産管理を任せる目的で使われる制度。信託法は信託財産について「強制競売や仮差し押さえをすることができない」と定める。このため、野村被告に信託財産以外で売却可能な財産が無ければ、賠償金の回収が困難となり、被害者らが提訴自体を断念するなど、泣き寝入りを強いられる可能性があるという。
県警は「賠償金の支払いを逃れるため、信託法を利用している」と批判。「暴力団の資産隠匿を防止するため」として、法務省や警察庁に信託法などの改正を求める要望書を出した。
親族2人から依頼されて信託登記に関与した弁護士は毎日新聞の取材に「信託当時、特に新たな訴訟が予想される状況ではなかった。親族に財産を託す正当な目的もあった。差し押さえを逃れるためといった動機は認められない」との見解を示し、賠償逃れを否定している。
-
「足を洗った」 「JO1」鶴房汐恩氏を書類送検 オンカジ賭博疑い
オンラインカジノで賭博をしたとして、警視庁保安課は16日、人気ボーイズグループ「JO1(ジェイオーワン)」のメンバー、鶴房汐恩(つるぼうしおん)氏(24)を単…社 会 1時間前 毎日新聞
-
王将戦 2次予選の組み合わせ決まる 勢いと実力問われる難関
ALSOK杯第75期王将戦(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社特別協力)2次予選の組み合わせが決まった。1月からの1次予選を勝ち上がった6人に、シード棋士を加…社 会 1時間前 毎日新聞
-
スーパー「ロピア」、取引先に陳列作業強要か 公取委が立ち入り検査
首都圏を中心に食品スーパーを展開する「ロピア」が店舗の商品陳列作業などを取引先の納入業者に無償でさせた独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会は16日…社 会 4時間前 毎日新聞
-
元「ミシュラン」店、食中毒の営業停止命令を無視か 経営者ら逮捕
食中毒で営業停止処分中だったにもかかわらず客に料理を提供したとして、大阪府警は16日、大阪府河内長野市にある和食店「日本料理 喜一」の経営者、北野博一容疑者(…社 会 5時間前 毎日新聞
-
原爆投下後の広島で1万人以上を救護 スイス人医師を特別名誉市民に
原爆投下直後に広島入りし、被爆者救護に尽力したスイス人医師、マルセル・ジュノー博士(1904~61年)の功績をたたえ、広島市は15日のジュノー記念祭で、博士に…社 会 6時間前 毎日新聞