日本人のお酒の反応、酔い方で3タイプ 依存症やリスク特定に 理研

2025/07/19 17:00 

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 アルコール摂取後の酔いの程度や気分の変化などの「主観的反応(SR)」から、日本人のお酒に対する反応性を3タイプに分類できたと、理化学研究所(埼玉県和光市)などのチームが米科学誌に発表した。アルコール関連遺伝子からの影響の受け方にも、タイプごとに特徴がみられた。将来的に依存症や関連疾患のリスクが高い人を早期に特定し、予防につなげられる可能性があるという。

 SRは、アルコールの体や脳への作用を示す主要指標で、数値が高いほど酒に対する反応が強いことを表す。今回は、めまいやしびれなどの「身体的な感覚の変化」と、「飲酒による興奮と鎮静」、「酔いの程度」で点数化した。

 研究では、20代の男女429人にアルコールを3時間点滴し、血中濃度を一定に保ったうえで、30分ごとに計4時間、SRを詳細に調べた。

 その結果、①すぐに数値が上昇する「非常に強い反応」②ゆっくり上昇する「徐々に表れる反応」③あまり変化がない「最小限の反応」――の3タイプに分類できた。

 次に、アルコールの代謝に関わる代表的な五つの遺伝子との関係を調べた。このうち、アルコールをアセトアルデヒドに分解するのに関わる「ADH1B」と、アセトアルデヒドの無害化に関係する「ALDH2」では、SRによる分類タイプによって影響を受ける程度やその時間的な変化に違いがみられた。

 理研の寺尾知可史・チームディレクターは「SRと遺伝子型に乖離(かいり)があるような人はお酒の飲み過ぎが健康リスクとなる可能性がある。適切な分類を元にした介入が必要で、今回の成果はその第一歩になる」と話した。【垂水友里香】

毎日新聞

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