130年ぶり「新事実」 山車人形は幻の名工の作 熊谷うちわ祭
夏の到来を告げる「熊谷うちわ祭」が20日から3日間の日程で始まる。見どころは埼玉県熊谷市内12町区の山車と屋台が美しさを競う巡行で、各町区ともに準備に余念がない。そんな折、今年の祭りを仕切る「年番」を務める第弐本町区の山車人形が江戸末期の名工・松雲斎徳山の作であると分かった。130年ぶりの「新事実」に、関係者は「新たな誇りとして受け継いでいきたい」と意気込んでいる。
第弐本町区の山車は高さ4・8メートル、幅2・8メートル、奥行き5・1メートル。てっぺんには天岩戸伝説で知られる「手力男命(たぢからおのみこと)」が立つ。1891(明治24)年に町内の有力者らが東京・神田の商家から譲り受けた。当時の金額で500円、現在の貨幣価値で数千万円である。江戸天保年間の作で、うちわ祭初の山車だった。
同町区副総代長の内ケ嶋修さんは「それが呼び水になり、他の町区でも山車などを競って購入しました。それまでうちわ祭はみこし祭りだったのですが、今日に続く山車・屋台祭りになるきっかけとなったのです」。第弐本町区の誇りが凝縮されているよう。
今年に入って、山車人形について、テレビ番組「開運! なんでも鑑定団」の鑑定士として知られる日本人形文化研究所所長の林直輝氏に鑑定を依頼したところ、江戸後期の人形師、松雲斎徳山作と分かった。材質や彩色の特徴、面相や衣装の彫りの技法から、徳山作と判断された。精緻な作風は江戸人形の頂点と評されながらも、徳山の現存する作品はわずかに3体で、「幻の人形師」とも呼ばれる。林氏は鑑定書に「江戸時代の美術工芸品として高く評価できる」と記した。
人形は高さ2メートル弱。16日、組み立てられた山車に人形を据え付ける作業が行われた。歴史のある人形だけに、近年では8年に1度、「年番」(伝統ある8町区で持ち回り)の時だけに披露される。しずしずと山車のてっぺんに据え付けられた人形を見上げながら副大総代の折原芳郎さんは「年番の年に、130年ぶりに明らかになった由緒。伝統のうちわ祭の歴史の重みを実感します」とかみしめるように口にした。鑑定に奔走した内ケ嶋さんは「いずれ県の文化財にも指定されるのでは」と期待を寄せた。
歴史の奥から姿を現した名工の山車人形。伝統の新章は、まもなく動き出す。【隈元浩彦】
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