私立大の理系拡充へ、基金1000億円増 高校向けも検討 文科省

2025/11/12 20:53 

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 文部科学省は12日、主に私立大学の理系教育の拡充を促すための基金に新たに1000億円程度を積み増す方針を明らかにした。高校の普通科理系を増やすための基金新設も検討する。高校・大学改革のあり方をまとめて議論するため新設したタスクフォースの初会合で案を示した。

 タスクフォースは文科省の政務三役と事務次官、各局長らで構成。労働人口の減少や産業構造の転換などによって2040年に管理業務・事務職などホワイトカラーが320万人余剰となる一方、数理・デジタル分野の専門人材が330万人不足するなどとした推計が示され、高校・大学が輩出する人材とのミスマッチを解消するため、理系人材育成を強化する方向性を確認した。

 文科省によると、22年度に創設した大学の3000億円の理系転換基金について、25年度補正予算で1000億円の積み増しを想定。文系が多い主に大都市の私立大に理工農系学部への転換を促す。文系学部の縮小や理数分野の併修も今後議論する。

 高校段階では、公立高で理数系を増やすため設備導入などを支援。関係者によると、26年度に数千億円規模の別の基金を新設する方向で検討している。

 このほか、公立高専の設置も促進し、エッセンシャルワーカーを輩出する地域の大学の機能強化も議論する。

 タスクフォースは年度内に議論をとりまとめる。松本洋平文科相は会合の冒頭、「検討しなければならないことは多岐にわたる。文科省だからこそできる改革に果敢に取り組みたい」と述べた。【斎藤文太郎】

毎日新聞

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