聴覚障害者、交番から相談・通報可能に 神奈川県警、全国初の運用

2025/11/12 20:59 

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 神奈川県警は、聴覚障害者が無人の交番などから電話で相談・通報できる仕組みを導入した。スマートフォンで案内板のQRコードを読み込むと、所轄署の警察官にテレビ電話がつながり、手話通訳者を通じて会話ができる。こうした運用は全国の警察で初めて。

 県内の交番や駐在所では、警察官が不在の場合、備え付けの電話機から署に連絡できる。ただ、耳が不自由な人は使えなかった。警察庁は文字入力で通報できるスマホアプリも開発・提供しているが、事前にインストールをしていなければ緊急時は使えない。

 こうした事情から、聴覚障害者は警察官が戻ってくるのを待たざるを得ないことが多かったという。

 新たに県警が使用するのは、日本財団が提供する「手話リンク」のサービス。不在の際に置く「緊急の方は110番へ」などと書かれた案内板に、手話リンクにつながるQRコードが載っており、スマホで読み込めば手話通訳者を介して署員と通話できる。

 事前登録は不要で通話料もかからず、24時間対応するという。1日から県内の交番など565カ所で導入されている。

 12日には瀬谷署の瀬谷駅前交番(横浜市)で運用開始に伴う式典があり、県聴覚障害者連盟の河原雅浩理事長が、QRコードが載る案内板を署員に手渡した。手話通訳士の資格を持つ、同署北新駐在所の田川孝詞警部補は「もし不在でも、安心して立ち寄れると思う。ぜひ遠慮せず利用して」と呼びかけた。【清水夏妃】

毎日新聞

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