終戦直後、砲台跡で児童15人が死亡した爆発事故 銘板設置 逗子
終戦直後、神奈川県逗子市小坪地区(当時は横須賀市)に残された旧日本軍の砲台跡で起きた爆発事故の慰霊祭が11月29日に営まれた。亡くなった男子児童15人のうち1人の身元は知られていなかったが、昨秋以降に判明。15人分の名前が記された銘板が慰霊碑に取り付けられ、参列した地元住民ら数十人が冥福を祈った。
爆発事故は1945年10月20日に発生した。事故を調査してきた市民団体「逗子の歴史を学ぶ会」によると、旧日本軍は本土決戦に備え、相模湾に面した小坪地区の小高い山の中腹に砲台を造った。山の内部に横穴が延び、海に向かって大砲が設置されていた。
戦後は米軍管理下になったが、隙(すき)を見計らって子どもたちが忍び込み、遊んでいた。砲台跡には火薬類が残され、何らかの理由で爆発。中にいた小坪国民学校(現在の小坪小学校)の男子児童ら少なくとも15人が犠牲になった。資料はほとんど残されておらず、悲惨な事故だったためか住民たちも口を閉ざした。入り口も塞がれ、事故の記憶は薄らいだ。
だが、事故で2歳上の兄を失った元逗子市議の草柳博さん(4月に88歳で死去)らが「風化をさせたくない」と奔走。昨年10月に砲台跡の近くに碑を建立し、初の慰霊祭を開いた。
長らく知られていなかった男子児童1人の名前は、その催しをきっかけに判明した。参列していた80代男性が、身内に犠牲者がいると証言。学校の記録などから、実際に亡くなった1人だったことが確認された。草柳さんの義理の息子で、遺族会副会長の丸山治章さん(60)はこの男性と数十年来の知り合いだったが「男性の口から直接、事故の話を聞いたことはなかった」と驚いたという。
犠牲者の名前を残すことは、生前の草柳さんの願いでもあった。今年の慰霊祭を終え、丸山さんは「このような犠牲がないよう、平和な世の中にできるようにしたい」と決意を語った。【蓬田正志】
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