アジカン後藤正文さんがワークショップ開催 創作の原点など語る

2025/12/07 08:45 

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 人気ロックバンド「アジアン・カンフー・ジェネレーション」(アジカン)でボーカルやギターを担当する後藤正文さん(49)による作詞・作曲のワークショップが6日、静岡県藤枝市の藤枝市民会館で開かれた。公募で集まった市民ら約50人が、詞の創作体験や歌詞とメロディーをめぐる後藤さんとの質疑応答を楽しんだ。

 後藤さんは2024年5月、藤枝市を拠点とするNPO法人「アップルビネガー音楽支援機構」を設立。新進ミュージシャンの創作活動を支援しようと市内の明治期の土蔵を改装して滞在型音楽制作スタジオ「Music Inn Fujieda(ミュージックインフジエダ)」の整備を進めている。アップルビネガーと市は連携協定を結んでおり、「市民が音楽に触れ、楽しめる環境作り」を目的に約2時間のワークショップが実現した。

 後藤さんに加え、NPOメンバーでフォークロックバンド「ターンテーブル・フィルムズ」の井上陽介さん(43)が司会進行を務めた。後藤さんは「ギターとボーカルだけなら、バンドの中でもっとうまい人がいる。生き残るには、自分自身で曲を作れなくては――というのが、モチベーションになった」などと自らの創作の原点を語った。

 後藤さんはアジカンの曲を参考に、歌詞が先にできたケースや、メロディーから作り上げるケースなど、曲作りの過程を紹介。この後、「言葉とメロディーをつなぐ実践」として参加者が詞の一節を発表した。

 最年少参加者の藤枝市立高洲小5年、榎本律雄さん(11)は、後藤さんの曲のイメージから紡いだとして「狭い部屋 暗がりのなか 無関心なぼくからのSOS」との詞を発表。後藤さんがその言葉から浮かぶ情景を話してくれたのがうれしかったと言い、「いつか自分で作った曲を歌ってみたい」と話した。

 「詞が曲の邪魔になることはないか」との参加者の質問に、「詞とメロディーが組み合わさって、何かが立ち上がってくる。言葉にならないものも含むのが、音楽の良さだと思う」と後藤さん。熱い語り口に、参加者も熱心に耳を傾けていた。

 後藤さんは既にミュージックインフジエダでのテスト録音を始め、作品づくりにも取り組んでいるという。スタジオに機材を持ち込み、ミュージシャン支援と共に録音技術者の養成もしていく。さらに「音楽はアートであり、生活に根ざしたものでもある。スタジオを、音楽を通じた交流の場づくりにも活用していきたい」としている。【藤倉聡子】

毎日新聞

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