「ここで死ぬのかも」厳しい冷え込みで避難強いられ 北海道浦河町

2025/12/09 20:39 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 8日深夜に起きた地震では、震度6強を観測した青森県八戸市以外でも被害や混乱があった。

 震度5強を観測した青森県東北町乙供では、国道394号の一部が陥没し、軽乗用車に乗っていた50代の男性1人がけがをした。

 9日午前、現場付近では作業員が柵を作るなどしていた。落下した車は前面が破損していた。近くに住む女性(78)は「毎日のように車で走る道路がこんなふうになってしまってショック。余震も続いているので不安です」と話した。

 また、青森県は9日、地震の影響で、むつ市のむつ総合病院の病棟7階のスプリンクラーが故障して5~7階が水浸しとなり、入院患者のベッド80床が使えない状況となっていると発表した。宮下宗一郎県知事は海上自衛隊に対し、入院患者の移送支援に関する災害派遣を要請。病院側が搬送を希望する約30人について、災害派遣医療チーム(DMAT)、消防、自衛隊が支援して、近隣の病院など13機関に搬送した。

 ◇315校が休校

 文部科学省は9日、地震の影響で、北海道と青森、岩手、宮城、福島各県の学校計315校が休校になったと発表した。休校は5道県の小学校138校、中学校90校、高校41校、特別支援学校10校など。短縮授業とした学校も12校あった。

 青森県内の公立高校では、生徒が避難する際に転倒し、右肩の骨にひびが入る重傷を負った。北海道と青森、岩手の3道県では小中高と特別支援学校、大学など計93校で窓ガラスが割れたり、校舎の基礎にひびが入ったりという被害が確認されている。

 ◇新幹線一部運休

 東北新幹線は9日の始発から盛岡―新青森間で運転を見合わせていたが、午後3時40分ごろ上下線で運転を再開した。JR東日本によると、計26本が運休するなどし、約1万7000人に影響した。【松本信太郎、足立旬子、田中綾乃、斎藤文太郎】

 ◇北国での課題

 50センチの津波を観測した北海道浦河町では、厳しい冷え込みの中での避難を強いられた。北国ならではの課題も浮かび上がる。

 「もうここで死ぬのかもしれない」。町営団地に住む大宮広光さん(77)は高台への避難中、死を覚悟した。自宅から車に飛び乗ったものの、避難する車の渋滞に巻き込まれたためだ。

 町によると渋滞を防ぐため、避難は徒歩を原則としている。しかし住民の80代女性は「冬に歩いて逃げるのは大変」と漏らす。

 今回の地震で大規模な停電は起きなかったが、「停電になると暖房が使えなくなる」などと電力への不安も聞かれた。

 北海道電力苫東厚真火力発電所2号機(厚真町)が地震直後から約5時間、緊急停止した。ボイラーに付いた灰が地震の揺れで落ち、燃焼状態が不安定になったことが原因という。

 積雪や路面凍結を不安視する避難者の声も多く聞かれた。日高町では70代の女性が転倒し、左腕を骨折する重傷を負った。町によると、避難所に向かう途中、凍った路面で足を滑らせたとみられるという。【平山公崇、森原彩子、片野裕之】

毎日新聞

社会

社会一覧>