犯罪被害者の刑事手続きへの関与拡大 法制審に諮問、法相が表明
平口洋法相は9日の閣議後記者会見で、犯罪被害者の刑事手続き参加の拡充を15日に開かれる法制審議会(法相の諮問機関)に諮問すると明らかにした。被害者参加制度の対象事件の拡大や、初公判前に争点を絞り込む「公判前整理手続き」への被害者の出席などについて関連法改正の必要性を検討する。
平口法相は「犯罪被害者らのニーズや対象となる制度の趣旨などを踏まえ、幅広い観点から検討する必要がある。法制審で充実したご議論をいただけるよう力を尽くしたい」と述べた。
被害者参加制度は、被害者や遺族らが刑事裁判に出席して、被告に質問したり、心情の意見陳述をしたりできる。検察官に公判活動の説明を求めることも可能。現在は殺人罪や傷害罪の他に、強制性交等や強制わいせつなどの罪や自動車運転処罰法違反などが対象となっている。
現行制度は刑事裁判に参加できる権利がほとんどなかった被害者側が声を上げ、2008年に施行された。対象犯罪は被害者側のニーズが高いと考えられるものに限定されているため、ストーカー規制法違反や暴行などにも対象を広げるべきだとの意見が出ていた。
公判前整理手続きは、裁判官と検察官、弁護人が初公判前に争点を確認し、採用する証拠や審理計画を決める。09年スタートの裁判員裁判を想定して導入され、公判を円滑に進行させる目的がある。
ただし、手続きは非公開で、途中経過は外部からチェックできず「ブラックボックス化」しているとの批判がある。被害者側が出席を希望して検察が相当と判断した場合、検察が裁判所に希望を伝えているが、法務省が把握している限りで認められたケースはないという。今回の諮問は進行中の手続きの内容を把握したいという被害者側の要望に応えたものとなる。
また、告訴を迅速かつ適切に処理するための対応も検討される。刑事訴訟法により告訴を受理した捜査機関は、捜査して起訴、不起訴を決めなければならない。しかし、中には犯罪の内容が明確でないものもあり、補正や追加資料の提出を求めることもある捜査機関側からは制度の改善を希望する声が上がっていた。
政府は3月に閣議決定した第5次犯罪被害者等基本計画で、被害者参加制度の対象事件の拡大と公判前整理手続きへの被害者の出席について、被害者側からの要望に理解を示し「多角的な検討を行う」とした。告訴については「直ちに受理することが必ずしも相当とはいえない場合もある」と記している。【岩本桜】
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