広中璃梨佳が初の五輪へ 陸上女子1万メートル 秘められた能力とは?

2021/05/03 19:39 

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 東京オリンピック代表選考会を兼ねた陸上の日本選手権1万メートルは3日、静岡県袋井市の静岡スタジアムであり、女子は広中璃梨佳(20)=日本郵政グループ=が31分11秒75で初優勝し、初の五輪代表に決まった。東京五輪参加標準記録(31分25秒00)をクリアし、今大会3位以内の代表決定条件を満たした。

 日本女子長距離界のホープである広中が新たな可能性を示す快走を見せた。「(五輪の)切符を取れてうれしい」と笑顔で語った20歳が、わずか2戦目という1万メートルで五輪行きを決めた背景には、ある能力の高さがある。

 「本命」の5000メートル代表入りに向け、スタミナ作りの一環で始めた1万メートル。この日は序盤から先頭で引っ張り、残り3周付近からスパート。一騎打ちとなった安藤友香(ワコール)を難なく突き放した。「レースの流れに乗って、自分でいけると思ったところでスパートした」。経験の少なさを感じさせない堂々とした走りだ。

 小学1年の冬、校内マラソンで優勝を逃して悔しさを味わったことで、陸上を始めた。母と一緒に練習し、長崎・桜が原中時代に元実業団監督の定方次男氏の指導を受けて急成長した。長崎商高を経て、2019年に実業団の強豪・日本郵政グループに入社すると、全日本実業団対抗女子駅伝の2連覇に貢献。全国都道府県対抗女子駅伝では中学3年から5年連続で区間賞を獲得し、5000メートルで東京五輪の参加標準記録(15分10秒00)をクリアした。

 記録を伸ばす要因について、00年シドニー五輪マラソン金メダルの高橋尚子さんの指導に携わった経験もある日本郵政グループの高橋昌彦監督は、「心肺機能が特に抜群」と明かす。指標となる安静時の心拍数は30ほどで、東京五輪マラソン代表で同僚の鈴木亜由子より10近くも少ないという。天性の能力がスタミナを必要とする1万メートルでも生きた。

 20年日本選手権では5000メートルで優勝すれば五輪代表決定だったが、1歳上の田中希実(豊田自動織機TC)に敗れて2位。「(その)悔しさをずっと持っていた」。験担ぎでかぶるトレードマークの赤い帽子とともに、次は残り2枠の5000メートルで、2種目めの五輪出場を狙う。【新井隆一】

 ひろなか・りりか 長崎県出身。長崎商高3年時にチームを全国高校駅伝初出場へ導き、都大路で1区区間賞。19年に日本郵政グループに入社し、全日本実業団対抗女子駅伝の1区で2年連続区間賞に輝き、チームの2連覇に貢献。5000メートルも東京五輪参加標準記録(15分10秒00)を突破している。

毎日新聞

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