中3・玉井が五輪出場へ 土壇場で決めた「ノースプラッシュ」

2021/05/03 16:37 

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 東京オリンピック最終予選を兼ねた飛び込みのワールドカップ(W杯)第3日は3日、五輪会場の東京アクアティクスセンターであり、男子高飛び込み準決勝で14歳の玉井陸斗(JSS宝塚)が421・30点の9位となり、4日の決勝に進出した。五輪代表の条件である上位18人による準決勝進出を果たし、初の五輪代表に決まった。

 予選で玉井は追い詰められていた。最終6回目の試技を前に、順位は「圏外」の19位タイ。五輪出場の条件となる上位18人による準決勝進出に向け、わずかなミスも許されない状況で高さ10メートルの飛び込み台に立った。息を整え高難度のひねり技を繰り出すと、ボツンという音だけを残し、しぶきを上げない「ノースプラッシュ」を決めた。

 国際大会の緊張感が14歳を包み込んだ。「足の感覚がないぐらい緊張していた」と前半はミスが相次いだ。2回目の後ろ宙返り3回半えび型は水面に対して体が斜めの状態で入水。得意とする3回目の前宙返り3回半えび型も決まらない。

 前半を終えて23位と出遅れ、表情は硬く「だいぶ焦った」。それでも自分を見失うことはなかった。武器とする最後の大技を前に「絶対に決めてやる」と記憶がないほど集中し、起死回生の演技で15位に入って五輪をたぐり寄せた。

 この1年間、中学生の心には何度もさざ波が立っていた。新型コロナウイルスの感染拡大で、昨年3月に五輪は1年延期を余儀なくされた。コロナが収束する見通しが立たず、「ニュースを見て感染者が増えていると、(五輪開催は)怪しいなと思ったが、あると信じてモチベーションを保ってきた」と振り返る。

 国内のシニア大会で最年少の優勝記録を塗り替え続け、東京五輪代表候補として注目が集まった。しかし年齢制限により選考を兼ねた2019年7月の世界選手権には出場できず、今大会が「東京」を懸けた最初で最後のチャンスだった。課題としてきた入水技術を基礎から磨き、成長期を迎えて体が大きくなっても持ち味の回転力が鈍らないように、筋力トレーニングにも時間を割いてきた。

 準決勝は「のびのびできた」と前半3回を終えた時点で5位につけて健闘したが、真の実力はこんなものではない。4日の決勝に向け、「メダル争いができる演技をしたい」と玉井。心身ともにたくましさを増したホープの力を最後に示したい。【村上正】

毎日新聞

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