日本女性初、五輪バド審判の坂本恵美さん 「夢追えばチャンスある」
8月に閉幕したパリ・オリンピックで、日本女性として初めて五輪バドミントンの審判を務めた前橋市下新田町の世界バドミントン連盟(BWF)認定の国際審判員、坂本恵美さん(50)が24日、前橋市役所に小川晶市長を訪ね、「この年でもやりたいことを追い続ければチャンスはある。奥が深い国際審判の面白さを少しでも多くの人に伝えたい」と話した。【田所柳子】
坂本さんは1996年から30年近く県内の高校で英語の教諭をしてきた。小学生から大学生までバドミントンに打ち込んだ経験から部活動の顧問も務めるようになり、高体連関係者の誘いで日本バドミントン協会の審判養成セミナーを受講。2012年にアジア認定、18年にBWF認定の国際審判にそれぞれ合格した。筆記・実技試験のレベルは高く、国内ではアジア認定以上の審判は10人、BWF認定は3人のみで、このうち女性は坂本さん1人という。
これまでは国際審判と高校教諭を掛け持ちしてきたが、昨年7月に転機が訪れた。BWFから五輪の審判に選んだとの連絡を受け、「審判として最高の舞台」に専念したいと、悩みながらも今年3月に退職。タイ、豪州、カナダの国際試合を経て、五輪の審判に臨んだ。「教諭はすごく好きな仕事だったが、生徒に夢に挑戦する姿を見せたいと思った」
アジア出身の審判は人数が多く競争率が高い。国際試合では審判の権威が強い代わりに身ぶりや声などのパフォーマンスにもプロ意識が求められるという。欧州の選手らは納得がいかないと食い下がることも少なくない。「元の性格から過去には『もっと自信を持って』と言われることも多かったが、五輪ではこの場にいられる幸せを感じ、緊張せずに精いっぱいやった」。主審を8試合、サーブなどを確認するサービスジャッジを8試合務めた。
バドミントンは選手のランキングだけでなく、ショットの多様さやその時の精神状態などで最後まで勝負が分からない所が魅力という。今年3月まで教諭を務めた伊勢崎清明高で、現在もバドミントン部指導員として部を支える。国際審判の定年は55歳。次回のロサンゼルス五輪で日本人審判が選ばれるかは不明だが、「可能なら決勝の主審を務めたい」と意欲を示す。
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