神奈川県警のプライド胸に「絶対に勝つ」 世界剣道選手権4日開幕
3年に1度の世界剣道選手権が4日にイタリアで開幕する。神奈川県警の高橋萌子巡査部長(6段)と松本智香巡査(5段)が出場し、高鍋進・教士8段が女子コーチとして参加する。「県警で培ってきた力を発揮し、絶対に勝つ」。日本発祥の「KENDO」の心を伝える剣士は、県警の教えを胸に世界に挑む。【柿崎誠】
「出場を重ねるごとに責任や自覚が重くなり、世界の怖さもわかっているつもりです」。4大会連続出場の高橋選手(30)の表情は厳しい。
高校生で初出場した世界選手権では心強い先輩に囲まれ、とにかく強気で臨んだ。しかし、経験を重ねるにつれ、「もしも……」の不安を抱くなど心境の変化も感じる。とはいえ、優勝という目標は変わらず「日本代表としての使命感、プライドは増している」と言い切る。「後輩が安心できる声かけをしていく」と、チームの柱としての役割も全うする。
高橋選手の持ち味は、自他共に認めるスピードから繰り出す面だ。「ここがチャンスと決断したら弱い気持ちを断ち切って打つ」。
一方、松本選手(27)も大学時代に続く連続出場だが「神奈川県警の看板を背負う初めての世界大会となる」と自覚する。韓国を筆頭に、最近は海外勢の台頭も著しい中、「勝つことは決して簡単ではないが、県警のプライドを持ち、これまで培った全てを出し切る」と力強い。
松本選手の特徴は攻めの強さ。圧力をかけて、我慢できずに崩れた相手の隙を逃さない点だ。
普段から稽古(けいこ)をつけてもらう高鍋コーチの存在も心強い。世界大会で優勝経験のあるレジェンドは「日本は海外勢から勝って当然と見られており、それが選手にとって一番のプレッシャー。一発勝負の世界は怖い」と語る。
特に女子団体は負け無しの大会8連覇中だ。高鍋コーチは「選ばれた10人の女子選手は強い。世界大会でも普段の力を普段通りぶつければ結果はおのずとついてくる」と期待する。
◇たかはし・もえこ
新潟県出身。県立守谷高校(茨城)、法政大を経て県警に入る。今春、巡査部長に昇任。2022年に全国警察剣道選手権大会で初優勝。
◇まつもと・ちか
福岡県出身。筑紫台高校、鹿屋体育大を経て県警に入る。前回の世界選手権は姉の松本弥月選手(神奈川県警)と世界一を達成。
世界選手権の結果は全日本剣道連盟の公式X(ツイッター)などで情報発信される。
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