日立新社長に徳永俊昭氏が就任へ 日立市出身の「デジタルの申し子」
日立製作所は16日、徳永俊昭副社長(57)が2025年4月1日付で社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格するトップ人事を発表した。社長交代は4年ぶり。小島啓二社長兼CEO(68)は副会長に就き、東原敏昭会長(69)は留任する。
「デジタルをコア(中核)として、グローバルリーダーを目指す歩みを加速したい」。徳永氏は16日、東京都内で開いた記者会見で、こう抱負を語った。
徳永氏は茨城県日立市出身。1990年に日立に入社後は情報システム畑を歩んだ。21年に副社長に就任してからはIT部門を社内でリード。米IT企業のグローバルロジックを約1兆円で買収する際に主導的な役割を果たした。
グループのデジタルトランスフォーメーション(DX)事業を伸展させたほか、25年から始まる次期中期経営計画の策定にも携わった。小島氏は徳永氏を「デジタルの申し子。創業の地(日立市)からやってきた大本命だ」と評価した。
日立は、さまざまな機器を通信でつなぐモノのインターネット(IoT)の独自基盤「ルマーダ」を中心に、デジタルと社会インフラを結ぶ事業を拡大させてきた。ルマーダ関連事業は25年3月期に、売上高全体の約3割に当たる2兆6500億円を見込んでおり、徳永氏は「ルマーダをより成長させ、新規事業を加速させることで持続的な成長を実現させたい」と意気込んだ。
日立は09年3月期に国内製造業として当時、過去最悪となる7873億円の最終(当期)赤字を計上したが、送配電や鉄道部門に注力するなど事業構成を見直して業績を回復させた。
徳永氏は「東原氏の不断の構造改革への姿勢、小島氏の資本効率を重視し企業価値を高める経営を引き継ぎ、市場と深く対話していきたい」と語った。
送配電事業は、人工知能(AI)向けのデータセンターを中心に旺盛な電力需要を背景に事業を拡大させている。車両から保守・点検まで手がける鉄道事業も欧州や北米を中心に伸びており、24年度の売上高は初めて1兆円を超える見込みだ。架線やレールの点検で、米半導体大手エヌビディアと協業を進めるなど、デジタルを活用した効率化も進めており、さらなる成長へ徳永氏の手腕が問われる。【安藤龍朗】
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