Vaundy、男性ソロアーティスト史上最年少4大都市ドームツアー完走「またどこかで会おうぜ…
Vaundy『Vaundy DOME TOUR 2026 “SILENCE”』札幌公演の模様 photo by 日吉”JP”純平

【ライブ写真】史上最年少ツアー完走!『Vaundy DOME TOUR 2026 “SILENCE”』札幌公演の写真がたっぷり
「ファイナル!」――そんな雄叫びから幕を開けたVaundyの4大都市ドームツアー『Vaundy DOME TOUR 2026 “SILENCE”』札幌公演。約35万人を動員した男性ソロアーティスト史上最年少でのドームツアーを締めくくる一夜、東京に比べればまだ肌寒さの残る札幌・大和ハウス プレミストドームは、その寒さを吹き飛ばすほどの熱気に包まれた。福岡から始まり、東京、大阪と巡ってきた今回のツアーで積み上げてきたものと、その先に広がる巨大な可能性。巨大な会場を完全に掌握し、オーディエンスとともに圧巻のライブを繰り広げたVaundyは、とても大きく見えた。
ライブのオープニングを飾ったのはデビュー曲「東京フラッシュ」。ステージの中央からまっすぐのびる花道を歩くVaundyの姿が、ステージ両脇に設置された巨大なLEDスクリーンに映し出される。Vaundyがワンマンライブでこうして映像を投影するのはこのツアーが初めて。ただし、ただステージを映すのではなく、たとえばこの「東京フラッシュ」ではミュージックビデオを彷彿(ほうふつ)とさせるエフェクトがかかるなど、演出装置としても最大限活用されていた。
客席から巻き起こる力強い手拍子に後押しされた「不可幸力」を経て、真っ赤なスポットライトがステージ中央のVaundyを照らし出す。「裸の勇者」だ。ステージ上では火柱が上がる。その炎も、サビで生まれた大きなシンガロングも、そのすべてをステージの真ん中で両手を広げて歌うVaundyがコントロールしているように見える。このドームツアーを通してどんどん大きくなってきたその存在感が、このファイナルに至ってますます力強く発揮されている。
「よお、みんな元気か?」。3曲を歌い終えてオーディエンスにそう語りかけるVaundy。「今日、ファイナルです。明日はないと思って歌いますんで、みなさんもよろしくお願いしますね」という言葉が大歓声を巻き起こすと、アッパーなサウンドが会場中を揺らす「常熱」が始まっていく。ステージに仕込まれたミラーボールの光が、ドームの天井を照らし出す。小気味よくステップを踏みながら歌うVaundyが叫ぶ「あげぽよ〜!」は、いつも以上に力が入っている。そんな「常熱」でぶち上がったボルテージを、続けざまの「踊り子」がさらに加速させる。先ほどの言葉どおり、ガンガンアクセルを踏み込むようなパフォーマンス。しかしVaundyの歌声は決して力んではいない。むしろ程よく肩の力が抜けていてとても伸びやかだ。これももしかしたらドーム公演を重ねるなかで彼が手にしたものなのかもしれない。ツアーの中で、彼はこのキャパシティにどんどん自らをアジャストしていった。その結果が、この、とんでもなくスケールが大きいのに、不思議なほど自然体のパフォーマンスにつながっているのだろう。
そこから一転、力強いバンドサウンドが鳴り響く「そんなbitterな話」を経て、「恋風邪にのせて」へ。花びらのような紙吹雪が舞うなか、ステージの端まで歩いていったVaundyがマイクを客席に向ける。オーディエンスの歌声を聞いて「まあまあだな」と言いながらも、うんうんと頷くその表情はとても満足げだ。続くMCでは「全然元気だね、やるじゃん」とオーディエンスを称えるVaundy。そんな一言一言が、会場のテンションをさらに高めていく。一度歌い始めながらもマイクの位置がずれていて「もう1回やっていい?」とやり直すという珍しい場面も見せつつも、Vaundyもギターを弾き、ステージ上に4本のギターが並んで大迫力のサウンドを響かせた「偉生人」、そして水色、オレンジ、赤、緑とドームツアーのキーカラーを使用したカラフルな背景の映像のなか、Vaundyがミュージックビデオでおなじみの振り付けを披露した「ずっとラブソング」……次々と繰り出されるキラーチューン。「僕にはどうしてわかるんだろう」では美しい光がステージを包み込み、「融解sink」では水中にいるかのようなフィルターがかかった映像が楽曲のディープな世界観を描き出す。「タイムパラドックス」で客席から湧き起こった手拍子に「しわあわせ」での圧巻のスケール感。1曲ごとに生み出されるさまざまな風景が、Vaundyの作り上げてきた音楽の振り幅の大きさを物語る。
新曲「イデアが溢れて眠れない」がフジテレビ系月9ドラマ『サバ缶、宇宙へ行く』の主題歌となること、そして8月に開催される北海道のフェス『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2026 in EZO』に2年ぶりに出演することを告知したMCを挟み、ライブは後半に入っていく。その最初のスイッチとなるのは「再会」だ。このツアー、各地で観客の度肝を抜いてきたレーザーを駆使した照明演出がここ札幌でも披露され、楽曲をさらにダイナミックに見せる。「風神」ではカラフルな光がステージを照らすなかステージを軽快に動き回りながら歌い、「花占い」ではカメラを手に客席を撮りながらパフォーマンス。Vaundyの動きもどんどん開放的に、自由になっていく。
そんな中、パッと空気を変えたのが続く「極楽浄土」だ。活動初期からある未発表曲を、アコースティックギターを弾くサトウカツシロと向かい合うようにして歌い上げる。この、非常にパーソナルな響きを帯びた曲が、初のドームツアーという節目で歌われるということには、単にレア曲披露という以上の意味がある。決して派手ではない曲だが、Vaundyのこれまでの歩みを照らし出すような印象的なシーンに、オーディエンスもじっくりと見入っていた。
そんな「極楽浄土」の余韻の中、SEを挟んで花道の先のセンターステージでロックスター然とした勇姿を見せつける「replica」が始まっていく。ここからライブはクライマックスだ。「呼び声聞かせてくれよ!」という言葉から「呼び声」を披露すると、会場中から大きな手拍子と歌声が巻き起こる。そしてハイパーな照明が問答無用で高揚感を煽る「泣き地蔵」へ。センターステージに設置されたリフトが持ち上がり、Vaundyを高みへと押し上げていく。そして「泣き地蔵」とはもはやセットとなっている「soramimi」。とんでもない盛り上がりだが、Vaundyは「おい、ぬるいなおまえら!」と容赦ない。「雪国連中は足腰が強いって聞いたんだけどな」と煽り立て、「CHAINSAW BLOOD」を投下。炎も光も、そしてバンドが鳴らすサウンドも全開。曲の終わりにステージのバックに浮かび上がる「V」の文字が誇らしげだ。
カラフルなバルーンが客席に投入された「Tokimeki」では、「正直、喉枯れてるぜ!」と叫びながら、思いっきり声を張り上げるVaundy。なんせファイナルである、すべてを出し切るという気合が、ステージ上の彼からもあふれかえっている。
「ツアーファイナル、ありがとう。またどこかで会おうぜ」。そんなVaundyの言葉が、ライブの終わりが近づいていることを告げるなか、「怪獣の花唄」が鳴り響く。ドーム中のオーディエンスが自分の歌だとばかりにシンガロングする光景はまさに圧倒的。ステージの端までダッシュして、かと思えばスマホを客席に向けて動画を撮り…と、Vaundyも最後の最後まで全力である。
そしてついに最後の曲へ。フィナーレを飾るのはこのツアーのタイトルにもリンクする新曲「The SILENCE」。複雑な展開をもった楽曲だが、ツアーのなかでバンドで練り上げてきたグルーヴはとても雄弁でパワフルだった。歌い終えたVaundyは「That’s The SILENCE!」と叫び、深々と一礼。このタイトルにどんな意味が込められているのかは集まったオーディエンスひとりひとりに委ねるとして、そうしたさまざまな解釈の余地を残す幕切れ自体が、このドームツアーが集大成でも到達点でもないことを伝えているようだった。
今年行われるアジアアリーナツアー『HORO』、そして来年から予定されている自身最大規模の国内アリーナツアーと、Vaundyはこれからも息つく間もなく走り続ける。振り落とされないようについていきたい、改めてそう思わされる、今回のドームツアーだった。
(文・小川智宏)
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