「民主主義の危機」「国境管理を」 激戦州ペンシルベニアの有権者は

2024/11/06 08:56 

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 米大統領選の激戦7州の中で特に結果を左右するとされる東部ペンシルベニア州の最大都市フィラデルフィアでは、5日午後8時(日本時間6日午前10時)に投票が締め切られた。ハリス副大統領(民主党)に投票した有権者は「民主主義の危機」として、トランプ前大統領(共和党)の返り咲き阻止の必要性を訴えた。一方、トランプ氏に投票した有権者からは「国境管理の強化が不可欠」と、ハリス氏の移民政策を問題視する声が聞かれた。

 オフィスや飲食店がひしめくフィラデルフィア中心部は、リベラルな民主党支持者が多い。

 ソフトウエア開発企業に勤めるジェイコブ・マッケンタイアさん(33)は「選挙結果を否定するトランプ氏が政権をとれば、民主主義の根幹が崩れる。絶対に認められない」と語気を強めた。物価高(インフレ)などで経済環境は厳しいが、ハリス氏の掲げる子育て減税や住宅購入補助などを列挙し「庶民目線で好感が持てる」と話した。

 フローラ・ウルフさん(82)も「民主主義を維持できるかどうかがこの選挙の最大の争点だ」と主張。「人工妊娠中絶は医療行為で、女性が選ぶべきだ。政治が干渉すべきではない」と語り、中絶の選択の自由を守るハリス氏を支持した。

 一方、フィラデルフィア中心部から少し離れると、保守的な共和党支持者が集まる地域がある。

 サービス業界で働き2人の娘を育てるダニエル・マーティンさん(35)は「国境管理の厳格化が不可欠だ。娘が不法移民による人身売買などの犯罪に巻き込まれる可能性を見過ごせない」と強調。民主党のバイデン政権の移民取り締まりは緩過ぎると考え、トランプ氏に投票した。

 自営業のマイク・ローズさん(37)も「不法移民は例外なく母国へ送還すべきだ」と主張。バイデン政権下で起きたインフレを痛烈に批判し、「(トランプ前政権時代の)4年前の方がはるかに経済は良かった。ビジネスマンのトランプ氏に託さないと米経済が崩壊する」と訴えた。

 “消去法”でハリス氏に投票した人もいた。

 フィラデルフィアの大学に通う21歳の有権者は、自らの性別を定義しない性的少数者。パレスチナ自治区ガザ地区の戦闘をめぐりイスラエル支援を続けるバイデン政権を問題視するが、性的少数者を攻撃するトランプ氏は絶対に容認できない。「トランプ氏ではダメということ。ハリス氏を強く支持しているわけでは全くない」

 両陣営の批判合戦が激化したためか、口を閉ざす有権者も多かった。ある女性は「政治的対立が大きくなり過ぎている。自分の考えであっても言えない」と話した。【フィラデルフィア大久保渉】

毎日新聞

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